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指輪

ようじ (名古屋)   2010-11-09

目の前のテーブルの上に、妻がさっきはずしていった指輪が置いてあった。

結婚を機に、妻へのささやかな贈り物だった。

それが結婚以来、はずされているのを初めて見る思いだった。

「帰ってくるだろうか?」

妻が出かけて、もう三時間はゆうに過ぎている。

 妻と離婚を前提に話し始めたのは、今から二ヶ月ほど前だった。

私も怒り狂い、妻を罵倒した。

妻は私に謝ったり、言い訳を繰り返したが最後は開き直っていた。

だが、私たちは離婚を選択しなかった。

まだ中二の娘が、元気に学校へ行っていたのがその理由だった。

「もう一度、やり直そう・・・・」

これが私たちの答えだったはずだった。

 「お願いがあるの・・・あの人とキッパリ別れてきたいの。
昔みたいに、後を引くのは嫌だから・・・」

私は悩んだが、結局それを受け入れた。

「いいよ・・・もう会わないことを約束できるならば・・・」

妻が高校の同窓会で、付き合っていた男と再会したのは去年の暮れだった。

それから妻の秘密の行動が始まっていた。

二ヶ月前、繁華街を腕を組んで男と歩く妻を見かけた。

それから私たちは話し合い、また新たに理解し合うことを見出した。

そしてお互いを認め合ったはずだったのに・・・

 もうそろそろ夜が明けてくる時間になっていた。

だが私は一人でソファーに座って、妻の指輪を見ていた。

「これは置いて行くわ。でも必ず早く戻ってくるから、その時改めて
私の指にはめて頂戴ね。」

妻は笑顔で、玄関を出て行った。

私はその指輪を指で摘んだり、手の中で転がしたりしていた。

そんな時その指輪を落としてしまった。

指輪は大きく床で跳ねて、見えない場所に転がっていった。

指輪の動きが、まるで妻の気持ちを表しているようだった。

まだ妻は帰ってくる気配がしなかった。

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10236 腕を組んで歩いた 2010-11-10 寝とられ   
ようじ様 これ創作か実話かは知りませんが 私の家内も新宿で腕を組んで知らない男と歩いているところを私ではなく私の友人に見られました。
その友人がお前大丈夫か奥さん新宿でモーテルから若い男と腕組んでて来たぞ。と云われ真っ白になりました。前後の見境もなく、妻を問い詰めました。今は完全に寝とられ 男に落ちぶれています。