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ページ番号449番
★ 旅の楽しみ 3 ★ 添乗員 (八十八ケ所) 2007-09-18
今回の旅も今日が最後の宿。ホテルだから男女部屋は別、僕たちは201号室。妻は隣の202号室。最後の夜だから何もないはずはない。添乗員の必需品の小型のラジカセの出番である。妻が風呂に入っている間に感度のいい盗聴器をティッシュぺーパーの箱にセットして置いた。FMのラジカセが微かな音でも捉えてくれる。
風呂も済ませてしばらくは僕たちの部屋で妻を交えて雑談で時間を過ごした。 「お父さんのお仕事も大変だと言うことがよく解った。それにしても説明が上手だったのに感心しました」 「彼はよく解る説明でお客様に人気が有るんだよ」と運転手が援護してくれた。 「今夜は誰が尋ねて来ても部屋に入れたら駄目だよ」 「解っています。鍵は絶対開けませんから」 「彼でも入れてはいけないよ」 「変なこと言うなよ、奥さんに手を付けたりしないよ、抱きたいけどね」 妻が部屋に帰った。少し彼と明日の仕事の打ち合わせなどして床に就いた。 「今日は温泉だからもう一度ゆっくり入ってくる」と彼は部屋を出た。もしかと思い妻の部屋をノックした。すぐにドアが開いた。「なんだ、お父さんだったの」 「何だはないだろう。鍵を開けてはいけないと言っていただろう」 用件を伝えて自室に戻った。彼は中々戻って来ない。誰かの足音が部屋の前を通り過ぎた。妻の部屋のドアをノックしている。ラジカセをオンにした。トントンではなくトントントトン、ドアが音を立てず開いたようだ。 「やっぱり来てくれたのね。今夜が最後だから」 「ご主人にはお風呂に入っていることにしてある」 「それでは余り長くは駄目ね」 「大丈夫。今夜は壊れるほど楽しもう。出来れば2回戦まで」 「いい思い出を一杯、楽しい旅をありがとう」 「手を付けてはいけないと言われているから手は付けない、だからオチンチンならいいんだね」 もう繋がっている。手を付けないからオチンチンなら、変な理屈だが上手い事言うのだなと感心した。もう妻は喘ぎ始めた。彼の鼻息も荒くなってきた。僕まで興奮して勃起して来た。「奥さんが好き、もう離さない、奥さんがその気なら妻と離婚してもいい」 「それは出来ない、主人を裏切れないわ」 「もう裏切っているだろう、こんな事して」 「罪悪感はあるけどそう思うほど貴方に惹かれてしまう。こんな体にしたのは貴方、そしてこの巨根」 「僕をこんなにしたのは君だよ」 2回戦が始まった。長い長い延長戦。その様子は紙面が足りないので録音機に納めてある。彼が洗面道具を抱えて戻ってきた。 「長い風呂だったんだね」 「風呂から上がったら仲間とばったり出会って下のスナックで一杯遣っていたから」 「それにしたら酔ってないよ」 「明日の仕事の為ジュースとウーロン茶」 「妻はもう休んでいるのかな」 「帰りにドアノックしたが開けてくれなかったよ」 「もう遅いから寝よう、明日もお願いします、お休みなさい」 明日で旅は終わる。妻は何か話すかな。彼と妻の新婚旅行に立ち会った僕だが、何か爽やかな興奮で浮き立っている自分に厭きれ果てている。これが僕を悪趣味の世界に引きずり込んでしまうとは想像もしていなかった。 (完)
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