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小話番号1170
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贅沢な傍観者 ②

返申 (東京)   2019-06-29
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ブランデーを片手に、今宵の私は贅沢な傍観者だ。
摘みなど要らない。
今、目の前で繰り広げられている情景を目に焼き付けるだけで、充分アルコールが進むからだ。

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もう、何回注ぎ込んだだろうか。

喉元にブランデーを。

視聴から受ける刺激に、否が応にも杯のピッチが速まる。

ベッドサイドにある濃淡な橙色の薄明りだけが照らす情景は、実にエロティックだ。

薄茶色の屈強な塊の下で、小刻みに動く華奢な白い塊。

日焼けした筋肉質の男に優しく包み込まれながら、寵愛を受けている妻が映しだされている。

他男からの愛撫を受ける妻を凝視する私。

夫に観られる羞恥に耐えながらも、我慢しきれずに波打つ妻。

“まな板の上の鯉”のように。

執拗な男の愛撫が、ソプラノの甘声のリズムを変えていく。

「イヤ」「イヤイヤ」「イヤァァンン」「イヤァァ—ン」
「アン」「アンアアン」「ふぅ~ん」
「はぁん」「あん」「あぁん」「あぁン、あぁンン」
「ア・ア・アー」「アーーン、アアーーーン」
 
スィートルームに木霊する妻の声が完全にメス化した時、男は妻の前で仁王立ちをした。

自信のある己を誇示するように。
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