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小話番号1169
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二つの名前を持つ妻

麻里子 (神戸)   2019-06-24
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仕事の帰りに夫と食事をした後、久し振りにスタンドバーに寄りました。
スタンドバーを出たのは午後8時を過ぎていましたが、まだ蒸し暑く、歩くと汗でノースリーブのワンピースの裾が肌にまとわりついて来ました。

ガード下の商店街を駅に向かって歩いていると、夫が肩に手を回して来て
「三枝!・・今夜、久し振りに麻里子に変身してくれないか?」
そう耳元で囁いて来たのです。
この前、私が夫の為に三枝から麻里子に変身したのは3カ月前だと思い
「良いわよ!・・今日は公園に行ってみる?」
私が頼みを聞き入れると、夫は男が女を見るギラギラした視線を向けて来ました。

繁華街の近くの公園に行き、夫と離れて噴水近くのベンチに座りました。
足を組み太ももを少し出し、バックからスマホを取って手持無沙汰を装っていると、直ぐ男性達の妖しい視線に晒されました。
そんな男性達の視線に晒されると、こんな遊びをする事に成った私達夫婦の色々な思いや出来事が頭の中に浮かんで来たのです。


1、夫の性癖
私達夫婦は結婚して7年が経ちまだ子供は居ないのです。
私は今年31才。夫は私より4才年上で金融関係に勤め収入は安定し、恋愛で結婚した優しい夫に何の不満もありません。
でも結婚して4年ほどして夫が妙な性癖を持っているのを知ったのです。
『三枝、浮気をしたいと思った事はないか?』そう聞かれたのが始まりで・・『誰か知らない男と寝て欲しい!』・・『娼婦に成って客を取って欲しい。』そんな過激な説得をする様に成ったのです。
だがそんな背徳的で不道徳な行為は出来るはずが有りません。
私は断り続けましたが夫の説得はしつこく1年も続き・・『ナンパされお茶を飲むだけでも良いから頼むよ!』・・そう悲願して来たのです。

私は夫の性癖をネットで調べてみました。
その性癖は『妻を他人に抱かせて興奮する・寝取られ願望』だと分かったが、そんな奇妙な性癖を持つ男性が案外少なくない事も知り、夫なら誰でも妻に対して何らかの性的願望や欲望を持っている事も分かりました。
それに考え様によっては嫉妬深く何に付けても束縛する夫や、暴力的嗜好を持つ夫より、妻を他人に抱かせて興奮する夫が斬新な気がしたのです。

私はとうとう根負けし『もし、街でナンパされたら考えてみるね。』そう答えてしまったのです。
それに私が聞き入れたのにはもう一つ理由が有るのです。
それは東電OL殺人事件を知ったからなのです。
被害者、渡辺泰子さん・・大学の先輩に当たるのですが、昼は一流企業の幹部社員、夜は娼婦。二つの顔を持つ彼女に共感出来る心が私の中に有ったからなのです。
彼女の様に『知らない男に身を売る娼婦に堕ちて汚れてみたい。』それは『堕落願望』と言うのでしょうか、夫から説得される内にそんな願望を心の中に宿している事を知ったのです。

2、ナンパ
夫の願望に応えたのは1年前、去年の初夏の事なのです。
それは・・『私がどこか街でナンパされその男性とホテルに行く。』・・もちろん夫が考えたストーリーですが、夫はネットで調べて繁華街近くの公園でナンパ行為が行われているのを知ったのです。

仕事が終わって夫と居酒屋で待ち合わせをして、繁華街近くの通称ナンパ公園に行きました。
その公園は繁華街とラブホテル街の近くにあるため会社帰りの女性や、繁華街で遊んだ人達の休憩所に成っていて、自然と女性を狙ったナンパ行為が行われるように成ったらしいのです。

公園に行くと午後7時半を回り、ビルのネオンの明かりが公園を包みロマンチックな風情が醸し出され、噴水近くのベンチにはアベックや多くの単独の男女が座っていました。
私はナンパされる事を目的でここに来るのは初めてですが、ナンパの仕組みは知っていましたが、ベンチに座る勇気がなかなか出ませんでした。
「僕が近くのベンチで見ていてやるから・・そこのベンチに座われよ。誰かに声を掛けられ・・もし気に入った男がいれば付いて行けば良いからな!」
そう言ったのです。

私は夫から急かされ渋々ベンチに座ると、街灯やネオンの明かりから遮られた暗い空間から多くの男性の視線を感じました。
私がベンチに座ってしばらくすると
「お姉さん・・誰かと待ち合わせ?」
と若い男が声を掛けて来ました。
私は緊張で体が強張り、助けを求める様に近くのベンチに座った夫を見ました。
「・・・」
夫が首を数回横に振ったから『その男はダメだ。』と言っていると思い
「ごめんなさい。友達を待っているの・・」
そう答えると若い男は私から離れて行きました。
そのベンチに1時間近く座っていると4人の男性から声を掛けられましたが、どの男性にも付いて行く勇気は出ませんでした。

3、中年男
ナンパされないまま午後9時を過ぎてしまいました。
そろそろ止めようと思っていたら突然の通り雨が降って来たのです。
近くの建物の軒下に入ろうと慌てて立ち上がると、ジーンズにポロシャツを着た男性が傘をかざしてくれたのです。
その男性は私より年上に見え、ちょっと渋い雰囲気を持っていました。
「今夜はお茶を引いたのかい?」
と低い声で聞いて来たのです。
私は男性が言った『・・お茶を引いた・・』という言葉が、その時はまだ『娼婦に客が付かない。』という遊郭用語だと分からずにいました。

「・・・」
私が無言で頷くと
「俺にこれから付き合わないか?」
そんな風に誘って来たのです。
夫を見ると雨に濡れながらじっと見つめて小さく頷いて来ました。
それでも私は迷っていました。
『止めるのなら今しかない!』そんな気持ちが起こったが・・『ここで止めたら夫が悲しむ!』・・そう正当化して自分を弁護しようと思う心が現れると、あの『堕落願望』が心の中に湧き起こって来たのです。

男性が差した傘で雨を避けながら肩を抱かれ、公園を横切ってホテル街に建つ派手なネオンのラブホテルの前まで来ました。
玄関の自動ドアが開くと足がガクガクと震えホテルに入る事を躊躇したが、肩に回した男性の手に力が入り強引にホテルの中に連れ込まれて入ったのです。

4、抵抗
ラブホテルの部屋はピンクの照明で照らされていました。
円形のダブルベッドが部屋の中央に置かれ、シースルの壁の向こうにバスタブと洋式の便座が並んで置かれているのが見えました。
私は何をしたら良いのか分からずベッドの前で立ち竦んでいると
「このホテルは始めてかい?」
男性がそう聞いて来たから
「・・・」
私は無言で頷きました。

突然、男性が抱き付いて来てキスを求めて来ました。
私は突然のキスに驚き、思わず顔を背けると、髪を掴まれベッドに押し倒され強引にキスをされたのです。
私は足をバタつかせて抵抗するとスカートの裾が捲れ太ももからパンティが丸見えに成ったのです。
私の抵抗に男性は驚いたのか
「おい・おい。これは強姦じゃあ無いよなぁ?・・娼婦に抵抗されるとは思わなかったよ!」
笑いながら言ったのです。

『・・娼婦?』・・私は一瞬、耳を疑いました・・『私は娼婦じゃありません。』と言おうとしたが声が出ませんでした。
「やはり娼婦はキスをさせないのだな!・・誰の操を守っているだい?」
そう言って笑ったのです。
男性は笑うと童顔で、その笑顔にちょっと心が救われた気がしました。
「ごめんなさい。・・突然で驚いてしまったの。」
正直に言って詫びたが、娼婦ではない事をどう説明すれば良いのか分からず言いそびれてしまったのです。

5、源氏名
ベッドに座って男性と少し話をしました。
男性は私の素性を聞く事もなく、私を娼婦だと思って色々な話をしたが、5分ほど話すと心は落ち着き恐怖心も薄れて来ました。
「キスはダメかい?」
「しても良いわよ。」
自然に答えていました。
「・・名前は何ていう?」
「麻里子です。」
思わず偽名で答えてしまったのです。

それから私は行きずりの男性のキスを受け入れました。
本当に主人以外の男性とキスをするのは初めてで、舌を挿し入れられると体の奥で熱い火柱が立ち始めたのです。
男性の唇の感触と舌の動きは夫のそれとは違っていました。
ブラウスの胸のボタンを外されブラジャーの中に手を入れられたが、乳房を握る手の感触も夫と違って厳つく、その指の動きは乱暴で乳房が異様に歪むほど強く握られました。
首筋に唇を這わされると一瞬にして体が火照り、背中に鋭い電流が走り、自分の意思に反して
「あっ・・ああ~~ああ~~」
低い喘ぎを漏らせてしまったのです。

気が付くとブラウスとスカートを脱がされそれにブラジャーを取られパンティだけの姿にされ、男性もパンツだけの姿に成っていました。
男性の体から汗臭い匂いがしましたが嫌な臭いではなく、むしろ夫とはまた違う逞しい男の体臭を感じました。
男性の唇が乳房を這い、腹を這い、体中を舐め回り、男性の手がパンティを下げていましたがもう羞恥心は消えていました。

「麻里子は良い体をしているな?・・オッパイだって綺麗でデカいし、男好きするエロい体だよ。・・男なら誰でもお前とやりたくなるよ。」
私の肉体を褒めてくれている事は分かっていました。
だがこんな風にホテルで行きずり男から自分の肉体を褒められるのは『喜んで良いのか?・・悲しむべきか?』妙な気分に成ったのです。

5、バスルーム
「シャワーを浴びないか?・・汗臭くって嫌だろう?」
男性がシャワーに誘って来ました。
『シャワーって男性を誘って一緒に浴びなければいけないのかしら?』そんな思いが頭の中に浮かんでいると
「先にシャワーに行けよ。」
男性に言われるままに全裸でバスルームに行きドアを開けると、ソープの匂いに混じって青臭いカビの匂いが鼻を突きました。
シースルのシャワールームに入り少し熱めの湯でシャワーを全身に掛けていると全裸で男性が入って来ました。

見ないと思っていてもついつい股間のペニスが気に成りました。
そのペニスは萎えたまま股間にぶら下がっていましたが、夫のピンク色のペニスと違って黒くてグロテスクに見えたのです。
それに今まで気付かなかったが男性の上腕と胸の筋肉は盛り上がり、腹は引き締まって筋肉割れをしたマッチョな肉体をしていました。
夫との体とは随分違っていて『職業は何だろう?』そんな疑問が浮かんだが、こんな肉体の男性に女は憧れ抱かれたいのだろうと思ったのです。

「体を洗ってやるよ?」
男性がボデーソープを掌に垂らして乳房を撫でながら
「本当にお前・・綺麗なオッパイで・・良い体をしているな!」
また体を褒められるともう悪い気がしなくなっていました。

私の体を素手で丹念に洗ってくれ、股間に手を挿し入れられた時は軽い快感が体を走り、思わず体を折って逃げようとしました。
こんな場所でこんな風にして夫の体を洗った事がなかったから戸惑っていたら
「・・チ×ポを洗ってくれよ!」
仁王立ちに成った男性が急かせるように言ったのです。
私だってこの場合、どうすれば良いか位は分かっていました。
仁王立ちに成った男性の正面に両膝を付いて跪き、ソープを掌に垂らし、萎えたペニスを両手で包むように握って洗うと、ペニスが直ぐに勃起しました。
そのペニスは夫との物とは比べ物にならないほど太くて長く,亀頭は盛上って夫の二倍ほどに見えたのです。
「口で咥えろよ!」
また男性の命令が聞こえて来ました。
私はシャワーの湯をペニスにかけてソープを落とし、勃起したペニスを握って口に含んだが、亀頭が太くて顎が痛くて戸惑っていたら、強引の口の奥まで押し込まれ『オェ~・・』と咽いでしまったのです。

6、娼婦
ベッドに仰向けに寝た男性のペニスを口に含んで勃起させ、しばらく口で弄んでいると男性が起き上がり、私の両足を大きく開き下半身を入れて来たのです。
私はもう覚悟は出来ていたから目を閉じその瞬間を待ちました。

股間に亀頭が当たると軽い後悔を覚えたが、またあの堕落願望が起こり、期待感と今まで感じた事の無い被虐的な性的興奮が湧き起っていました。
ペニスが体内にゆっくりと入って来ました。
そのペニスの感触は夫では到底感じる事が出来ない・・股間に太い杭を打ち込まれた感触で・・何かを掴まなくては体が浮いて飛んでいきそうで、思わず両手でシーツを掴むと
「あっ・あ・ああああ~~。」
思わず喘ぎ声を漏らせてしまったのです。

男性に腰を動かされペニスを出し入れされると、強烈な快感が体の中を駆けずり回り、自分の意思に反して全身がガクガクと震え、体を大きく反らせながら男性に抱き付いていました。
自分の耳内で
「おっ・・うっおぅおぅおぅおぅ~~・・おおお~~・・」
獣の遠吠えに似たヨガリ声が聞こえ
「良いぞ!・もっと泣け!こんな淫乱な女を買ったのは初めてだよ!」
私を卑下している男性の声が聞こえて来ると、体が溶けてしまいそうな快感に襲われ、呼吸が苦しく成り、それからの記憶が飛んでいました。

乳房の鈍い痛みで気が付くと
「うっ・・うううううう・・・うっ~~ん!うっ~~ん!」
私の上に乗っている男性が両手で乳房を強く掴み、猛烈に腰を動かしながら唸っていました。
私は一瞬、・・『妊娠!』・・そんな恐怖が頭の中に浮かんで来ました。
だが私の体の中にはもう自分では制御出来ない強烈な快感が暴れ回り『もうどうにでも成れ!』そんな自棄に堕ちていたのです。

男性が抱き付いて来ました。
ペニスが少し太さを増しペニス全体が脈動を始めると
「・・嫌!・止めて!・・・中に出すのは嫌!・・」
無意識に叫んでいました。
男性は私の叫びを無視して更に強く抱き付き、腰の動きを一旦止め、再び早く腰を動かすと子宮の奥深くに熱い液体が次から次にドクドクと感じるほど放出されたのです。
熱い液体が体内に放出されるとまた気が遠く成り
「いっ・くう・・・逝く・・逝く・・逝く・・逝っちゃう~~!」
叫びながらまた気を失っていました。

7、帰宅
男性にもう一度抱かれ・・ホテルを出てタクシーで家に帰るともう午前1時を過ぎていました。
玄関の照明は点いていて『夫は起きて私を待っている。』そう思うと『行きずりの男性に抱かれた私をどう見るだろう?』そんな不安が脳裏を過って来ました。
ロックを外してドアを開けると、そこに夫が立っていました。
「・・遅く成ってごめんなさい。」
謝りながら夫を見ると、行きずりの男に抱かれた不潔な女を見る卑下した目で私を見ていたが、表情は上擦って妻の私に欲情しているのが分かりました。

居間に入ってソファに座ると
「どうだった?ホテルに行って・・男と寝たのか?」
嫉妬した目をして上擦った声で聞いて来たのです。
『夫の心は嫉妬で揺れている!』そう思ったが、もう正直に話そうとバックの中から二つに折り畳んだ1万円札を三枚取ってテーブルの上に置いたのです。

夫はテーブルに置いた紙幣をジーっと見詰めていました。
突然、抱き付いて来て
「俺にもやらせろよ。・・男に買われたのだろう?」
乱暴にキスをされ、ブラウスの上から乳房を強く握って来たのです。
私は夫の気持ちが痛いほど分かるからその行為を咎めず、夫の乱れた気持ちが治まるまで成すがままでいました。

スカートを巻くってパンティを脱がされ、夫がズボンを脱ぐと勃起しているペニスが見えました。
『行きずりの男性に抱かれた私に欲情している。』と感じたが、その勃起したペニスを見ると何故かホッとした気分にさせられたのです。
夫は乱暴にペニスを私の体内に入れて来て夢中で腰を動かしていました。
私はその時、さっき私を抱いた男性と夫とのペニスを比較してしまい、体の奥で静まっていた強烈な快感の余韻がまたメラメラと燃え上がって来たのです。
「あっ・・ああああ~~」
無理に喘ぎを上げたのです。

「男と俺のチ×ポどっちが太い?どっちが気持ち良い?・正直に答えろよ!」
私を抱いた男のペニスが気に成るのか、腰の動きを止めて聞いて来たから
「・・あなた!・・あなたが太くて・・気持ちが良いの!」
そう答えると、夫は再び腰を動かし始め、その動きが速く成ると
「うっ・・ううう・・」
数回唸り、さっき男性が放出した子宮に熱い液体を放出したのです。


「・・幾らだい?」
男性の声に我に返りました。
声を掛けて来たのはサラリーマン風の中年の男性で、その視線は私の乳房や太ももに張り付き、全身を舐めまわして女の品定めをしていました。
「・・・」
私は夫を見ました。
夫が数回頷いたから
「・・お酒を奢ってくれる?・・私は高いわよ!」
そう答えて立ち上がると、ハントした女を逃がさないためにどの男性もがする様に肩に手を回して来て
「お姉ちゃんの名前を教えてくれよ?」
「麻里子・・よろしくね。」
そう答えると
「どこに行く?」
誰もが聞く定番の質問に
「・・お任せコースで良いわよ。」
そう答えるとこの男性も私の肩を抱いてホテル街に向かって歩き始めたのです。

                        完
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