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日記番号:1088

淫の刻印 2

アスカ(京都)


  感想集

8 東京 八重洲

西とクズハは、合意の上で、先週の蒲田駅に隣接する商業ビルの完成披露パーティで、わざと榊原夫婦を呼び、わざとクズハをデートに誘い、榊原の前で、断り、恥をかかせた。週末、西は八重洲の居酒屋に榊原を誘い、会食をしていた。

夕方の帰宅時間でもあり、店も混み初めていた。「すまんね。榊原君、いつも遅くまで、残業らしいな。法務部は…」
「仕事ですからね。弁護士との打ち合わせは、昼間が、多いので…先日は、家内が、専務に失礼して…」
「構わんよ…で…奥さんの事だが…オレのと、暫く、交換しないか?」
「はあ~交換…なぜ…そんな事…」
「以前から、奥さんの事を知っていたが、気にいった。お互いに素性は、わかっている…どうだ…」
「倫理的にどうなんでしょう…」
「興味なければ、構わないが…オレの家内は、承知している。君は、45だったな…家内は、48だよ。」

榊原は、スワップなど、昔から興味あったが、クズハが、真剣に怒りだしたので、ここ10年くらい、言い出せなかった。「しかし、我々が、良くても、家内が、どういうか?」榊原は、専務の意向を、自身の出世の事も考え、断るのは、マズイと考えた。

「奥さんにアプローチさせてくれないか?」「はい。わかりました。専務にお任せします。」
「とりあえず、期間は、一年だな…それと、今から、自宅に行こう。家内にも、連絡する。」

案内された自宅は、渋谷の松濤だった。外国の大使館、公使館、企業の会長、社長の自宅など、豪邸が、建ち並ぶ。
「昔から…?」
「いや、三代前が、仮の住宅として、使っていた。本宅は、葉山なんだ…」
「へぇ~」榊原は、返事に困った。
「産業省の審議官の西は、オレの兄だ。それが、葉山を継いでいる。」
「それで、西さんが、松濤を…」

西審議官と言えば、テレビなど、マスコミでも、よく出ていた。明治維新の立役者の血筋をもち、次回の議院選挙でも、出馬すると噂のあるサラブレッドの血筋だ。

そんな一族の奥さんを、夫婦交換…榊原は、息を飲んで、声が、出なかった。

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