メニュー ログイン

日記番号:1088

淫の刻印 2

アスカ(京都)


  感想集

46 大阪 新世界

阪堺線手塚山駅の停留所にチンチン電車を待っている50歳代の女性がいた。手塚山は、その昔、船場の旦那衆の別荘地だった。今は、海岸が埋め立てられ、昔の面影は、ない。しかし、一部、昔ながらの洋館が、建ち並ぶ街だ。歳をとっても、細面の清楚な美人だ。長い髪を後ろで束ね。20~30年前なら、とびきりの美人で、誰もが、振り返ったに違いない。

電車に乗り込むと、男は、なにくわぬ顔をして、女に続いた。J プロジェクト社長の岩田60歳の妻、サクラ55歳だった。電車の中で、座っているサクラは、上品で、ベージュのブラウスが、よく似合う、落ち着いた雰囲気だ。

いつも、デリ嬢やピンサロ嬢を見ている男にとって、やけにまぶしく見えた。ブランド物のバックから、ハンカチを取りだし、額を押さえる仕草は、上品で、男は、自分の母親を思い出した。

しかし、この2週間の尾行では、確かに心斎橋、梅田の有名ブランドショップでの買い物やら、レストランでの食事…あたりさわりない行動だ…週の半ばと週末には、一日パチンコして、うさんくさい男、日雇い労務者と飯を食べながら、ケラケラ笑っている。

いつも行くパチンコ屋は、日本で、一番治安の悪い(新世界)だった。常連のようだ。新世界の土地勘は、すごい。うっかりしていると、路地裏に入り、わからなくなった時もあった。

旦那は、大手銀行の取締役、今では、出向先のj プロジェクトの社長だ。その奥さんが、わざわざ…新世界…このアンバランスは、何か?報告した祭からの指示は、簡単なものだった。

(そのババアのケツの穴の毛の本数まで、数えてこい。)

前頁 目次 次頁