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日記番号:892

愛する妻を堕した男

志保の夫(首都圏)


  感想集

39.空白の時間①

<寝取られM>と云う性癖は一種の精神病ではないだろうか?と思う。
最近はWebサイトやブログが広く普及して、それまで秘密にされていた個人の特殊な性癖が表面に登場して、その体験等が普通に語られるようになった。
私も同じ性癖を持つ人達がこれ程多くいるとは思わなかった。しかし、告白や体験談を読んでいて気付いたことは、結婚後に目覚めるケースが多いようだ。
しかし、ここまで続けてお読みいただいた読者の皆さまは、私が独身時代に既に発症していたことに気付かれたと思う。その頃は<寝取られM>と云う言葉も知らなかったので、自分は精神的異常者ではないかと随分悩んだものだ。

私の<寝取られM>性癖は私が大学を卒業して、志保との遠距離恋愛が始まると、その病状は次第に重症化して行った。
私はその期間を“空白の5年間”と呼んでいる。
志保の処女をもらい、家族の認知も受けているのに何故か心の中に満たされないものを感じる。
私は志保が私を心から愛している事を十分に解っていたし、身持ちも堅い女だと信じていた。私はテニスウエアを着た志保の写真を見ながらよく自慰をした。しかし、その時の志保は写真とはまったく違うイメージで登場する。
私の妄想に現れる志保は淫乱な女で常に他の男に抱かれ、苦悶の表情と歓喜の声を上げている。
最初の頃の相手はあの野島だ。
志保と野島には疑いが持たれるような噂やそれを裏付けるような不自然な行動があった。しかし、それは志保が小樽から帰った直後の事だったので、私は志保に敵意を持った女子部員が流した単なる噂と思って気にも留めなかった。
大学の夏休みが終わってクラブの部室に顔を出すと、3年生の幹部部員がニヤニヤしながら話しかけてきた。
「浅井先輩、今年もついにバージン部員が消えました。やっぱり、夏休みまででしたね」
「ふぅ~ん、誰のことだ?」
「一年生の中川志保ですよ」
私は志保と聞いて驚いた。もう既に私との事がバレテいるのかと動揺しました。
「それが相手はテニス部の種馬ですよ。また、ヤツにやられました。あの子は身持ちがいいと思っていたんですがねぇ、あんな男の何処がいいのか・・・」
「その話は何所からでたんだ?」
「それが同じ女子部員から聞いたんです。だから信頼度は高いと思いますよ」
「女子部員?」
「山田美香ですよ。3年生の・・・。山田は野島の彼女らしいですから・・・」
私はテニスよりセクシーさを強調している山田美香の顔を思い浮かべた。なぜ山田が志保のスキャンダルを吹聴するのか解らなかった。
しかし、それは有り得ないと思った。私が帰京して志保の両親に挨拶して、一応認められたばかりである。しかも、その時志保も同席したし、その後のデートでも新宿のラブホテルで愛し合ったのだ。
小樽から帰って3週間の間に野島と何かあったのか・・・。
テニスコートを見ると志保がその他の一年生と練習していた。そして、その様子を野島と山田が並んで見ていた。
私は志保に事実関係を問い詰めるべきか、それとも何も聞かない事にすべきか迷った。結果として何も知らない振りをすることにした。もし、志保もその噂を聞いたら私に何か言って来るだろう。その時、真実を聞けばいい。下手に追い詰めて志保の心を傷つけるべきではないと判断したのだが・・・。
その後も志保は何事も無かったようにクラブ活動をしていたし、私が卒業した後も続けて結果として彼女も卒業まで部員として後輩の指導をしていた。
野島とのことはその後も心配だったが、彼女から話題の中に登場することも無く、野島も卒業した。
遠距離恋愛ではあったが、その頃は東京と大阪と、会いたいと思えば会える距離だったので、まだ危機感はそれ程感じなかった。しかし、その後が問題だった。

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