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日記番号:844

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幸治(都内)


  感想集

8章-3

『妻の貸し出し』、『夫公認の妻の男遊び』小野氏から次々とショッキングな言葉が出て来る。私の胸はその言葉に反応して重苦しい。
「あのぅ、小野さん、ちょっと詳しくお聞きしたいんですけど、さっき話しの中でおっしゃった、『夫公認の奥さんの男遊びの事』ですけど、何かサークルや出会いのルートがあるんですか?」
「そういうクラブやグループは結構ありますが、多くは風俗営業で信頼性や安全性は約束できませんねぇ。インターネットやエロ雑誌に広告が載っていますけど、一般の人にはお薦めできません」
「それでは、小野さんは・・・」
私は小野氏の話に引きづり込まれように彼の世界に入って行く。
「出会いと言うのは日常の交流の中で関心を持っていると自然とアンテナに掛かって来るもんなんです。何かのパーテーやイベント会場で人妻さんと話をしている時、旦那さんの仕事や家庭に対する関心の度合いを聞けば、現在の夫婦関係について判断ができるんですねぇ。奥さんが外の男に不満を漏らす時はその気持ちがあると言うサインです。ただし、旦那さんの性格が細かくて嫉妬心が強い場合は、例え奥さんに不満があっても、旦那さんは奥さんに執着心がある訳ですから、それ以上深入りしないようにしています。実際に私は一度もトラブルになったことがありません」
小野氏は自信たっぷりに話す。
「先ほどご一緒だった女性とはどのようにお知り合いになられたのですか?」
「あの方とはフィットネスクラブで知り合いになりまして、何度か食事をして、家庭や夫婦の情報を聞き取りまして、彼女のご主人が長期の海外出張中と分りました。ご主人は海外出張が多いので、その間の奥さんの行動については『〝自己責任〟と言われているので、男性との交際はセックスも含めて暗黙の了解をもらっている』と聞きました。ですから、旦那さんが帰国したらそれで終わりです」
『フィトネスで知り合った』と聞いて、陽子の顔が浮かんだ。
「立ち入ったことをお聞きしますが、小野さんはこれまでお付合いした女性の旦那さんと会ったことはあるんですか?最初の弁護士さん以外ですけど・・・」
「それは何人かいます。中には特殊な趣味を持っている旦那さんがいまして、私と奥さんのセックスしている処を見せて欲しいと言われたことがありました。それに奥さんを私と旦那さんが2人で責める3人プレーいわゆる3Pもリクエストされたこともあります」
小野氏の口から出た言葉は衝撃的だった。
自分の目の前で妻を他の男に犯させる。それは社会的常識からして明らかに変態行為であり、それを楽しむ夫婦も変態と思う。
「すごいお話ですね、私たちのような平凡な夫婦にはかなり理解することが難しい話ですねぇ」
「そうかもしれません。しかし、今の世の中では何が正常で何が異常かは、基準が有って無い、皆さん其々の価値観で行動しているんです。私が人妻と関係を持ったとしても、ある人は不道徳と非難する人もいれば、本人同士が良ければそれでよし、とする人もいます。基本的には他人に迷惑をかけなければ否定することは無い。それが現在社会の最低のコンセンサスかもしれません」
小野氏がきっぱりと言い切った『他人に迷惑をかけなければよい』は確かに正論かもしれない。妻が他の男とセックスしても、それが夫婦のルールの範囲内なら誰も咎めることは出来ない。
「そうかもしれません、今日、小野さんのお話を伺って、男女関係について不倫とか不道徳と騒いでいるのは芸能人を追うマスコミかもしれません」
「そうですね、そのワイドショーを歓んで見ているのが不倫をしている主婦と言うのも面白い現象ですけど・・・」
私たちはお互いに顔を合せて笑った。

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