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日記番号:1073

淫の刻印

アスカ(京都)


  感想集

ある男

夏草の匂いが、蒸せるような暑い夏の夕方、大阪西成区の木賃アパートの一室。バブルで、地上げが、思うように進まず、抜け歯のように家の残骸が、立ち並ぶ一画。

目の前に、阿倍野ハルカスが、建築されている。蒸せるような日、冷房もない部屋。典子は、鴨居から吊るされ、片足は宙に浮き、何とか、爪先立ちて、何とか体勢を維持していた。そんな前に、一人の刺青男が、酒を昼間から飲みながら、典子の体を舐めるように見ている。

乳房の上下に麻縄が、かけられ、乳房を絞り出すように、青白い血管が、浮き出ていた。

たとえ一度でも、縄による肉の悦びを味わうとダメなのだろうか。
典子は、会ってほしいと哀願し、アパートの敷居をまたいだ。アパートの一室に入った瞬間、それまでの後ろめたさは、ふっ切れて、情欲を満たすため、心を妖しくときめかした。

昨日は、おぞましさを感じたが、今は、なんともない。本来なら、昼間に未婚の女性が、いる地区では、ない。ここは、日本で一番治安が、悪い地区なのだから。
縛りあげられて、より情感を掻き立てられ、淫らに、ねちねちと、乱暴にあっかわれたいと言う思いが、こみ上げてくる。

「オレは、何も言ってないのに、自分から縛られたいなんて、言ってくるなんて、好き者やな。」
「そんなあ~」
男が、立ち上がり、バシィ~と乳房を平手で、叩く。
「くっ~う」
「その言い方が、マゾの証明やんか…ちゃうか~?よがりやがって。」

黒々とした典子の茂みから、妖艶な女の匂いが、たちこめてくる。
その色っぽい匂いに欲情したのか、男の股間は、ギンギンにイキリ立っていた。

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