バ-「ラヴェル」
口開けのバ-は空気が澄んでいる
僕の一番好きな時間だ
カウンタ-に座ると
ウォツカリッキーが出てくる
一杯目を飲み終わる頃
常連さんが
やってくる
いいバ-は必要なとき以外は
ほっておいてくれることだ
お客同士がなれなれしくなることもない
顔は知っていても
好みは知っていても
名前は知らない
そんな人がたくさんいる
その女性もそんな人の一人だった
僕は
人間観察の達人なので
ホ-ムズみたいに当てる
お化粧はほとんどしていない
年齢は外見からは30前半だが
落ち着き方からみると
40ぐらいかもしれない
香水はきつくないことから考えると医療関係
しかし、早い時間にバ-に来られる事を考えると
ハ-ド系ではない
「それ、なんなのですか?」
隣に座った彼女が訊いた
キングオスカーのオイルサ-デインを缶のまま火にかけ
そのうえに
オニオンスライスそして、レモンと醤油をかける
「どうぞ、試して、みてください、いま飲んでらっしゃる、ロブロイに合いますよ」
彼女は遠慮無く箸をつけ
ウィスキーを口に含んだ
「美味しい!!」
僕たちは知り合いになった