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日記番号:892

愛する妻を堕した男

志保の夫(首都圏)


  感想集

18.妄想と自己嫌悪

その夜の私はなかなか眠りに就けなかった。
2日前のホテルでの志保の姿態が思い出される。そして、志保を思い浮かべる時は必ず野島が背後にいる。志保から野島の話を聞いてからは彼が私の妄想の主役の1人になってしまった。
志保と過ごしたホテルのベッドでの出来事が、志保と野島に変わり、私は傍観者として2人の行為を見ている。野島が連れて行ったと云う東京の高級ホテルは札幌のホテルとは比べものにならないくらい豪華なはずだ。当然ベッドはダブルだろう。
部屋に入って2人だけになった野島はどのようにアプローチするのだろう?
緊張で身体を硬くしている処女の志保をどんなテクニックでその防御を崩して行ったのだろう。官能小説では夜景を見ながら背後から抱きしめて首筋にキスをする。振り向かせて唇を奪う。
「先輩、女はキスが全てですよ。唇さえいただければ99%落ちたのも同然です。特にバージンの子はキスに弱いですから、場所がホテルだったら最後まで行っちゃいますよ」何かのコンパの2次会のスナックで自慢そうに話していた野島を思い出す。
「ホテルの部屋まで連れ込むのはどうするんだ?」
「そこが一番難しいですね。夏だったらホテルのプール、ジャニーズ系の野外コンサートですねぇ。この手のコンサートは会場全体が異常なほど盛り上がりますから、女の子は雰囲気に呑まれるんですよ。だから、その後で誘うと何所でも附いてきますよ」
「それでも堅い娘はどうするんだ?」
「それでもだめだったら、あとは悪友に頼んでヨットかクルーザーかなぁ、僕もヨットの免許は持っていますけど、けっこう面倒なんですよ。だから、僕もヨットを使ったのは一回だけですけど・・・。それよりも確実な方法はその子の友人と一緒に軽井沢の別荘に招待かな。成功率が高いのは友人と一緒の軽井沢の別荘です。女友達と一緒だから警戒心が弱くなるし、解放的になるんです。寝る部屋は友達と別にして、夜中に忍び込むんです。隣の部屋には友達が寝ているので騒がれることはないですね。やっぱり女同士でもセックスを聞かれることは恥ずかしいんですよ」
野島の話は多少の誇張はあるだろうが、志保から聞いた話とほぼ重なる。志保は既に野島の計略の二つを体験している。奴は「狙った女は必ず落とす」と、真剣な表情で言い放った。
野島の事を考えると次第に焦りを感じる。
しかし、その一方では志保がどんなシュチエーションで野島に犯されるのか?悪魔的な歪な興味もある。
私は合宿の風呂場で野島の陰茎を見たことがある。あの男はそれを決して隠そうとしなかった。合宿の風呂場だから勃起はしていなかったが、それでも奇麗に包皮が剥けて、亀頭の形もカリ首のクビレやエラの張りもはっきり判る形をしていた。しかし、彼が自慢するにしては細い感じがしたが、平常時と勃起時とは違うので正確なことは判らない。
野島はそれでも自慢で、「一度やると女が放さないんだよ」と吹聴していた。
もし、誘惑された時、志保の心の中に浅井省吾と云う存在がなかったら、あの陰茎の犠牲者の1人になっていたかもしれないし、これからだってその可能性は皆無では無い。
野島の実家は建築会社を経営して彼は跡取り息子と聞いている。大学を卒業したらその会社に入って将来は社長の椅子に座る。だから、彼にとって大学は遊びの場所でしかないのだ。
多くの女子が彼の周りに吸い寄せられるのも打算からなのだろうと思っているのは男達で、女はそれ以外の魅力を感じているのだ。

あの男に志保を絶対渡さない!その為にも早く強固な事実関係を作り上げなければと、思いつつ手がトランクスの内側をくぐると、私の妄想は性魔に弄ばれるのだ。
性魔は野島と志保を登場させ、野島の陰茎に責められ悶える志保の乱れた姿を私に見せる。
そして嘲笑しながら囁きかける。
(志保を野島に預けてみたら?志保の初体験は上手な男に任せるべきだよ。その方が志保にとっても幸せなことだ。処女に拘る必要はないよ。多くの娘は結婚する男と初体験する男は関係ないと言っている。志保だって野島のような男に抱かれてみたいと思っているはずだ)
妄想のスクリーンには野島の黒い肌と志保の白い肌が重なる。高く持ち上げられハの字に広げられた足の中に野島の引き締まった尻が大きくストロークを繰り返す。
志保の身体がのけ反るように跳ね上がる。同時に私の身体に痙攣が走る。
テッシュに放出した精液の匂いを嗅ぐと、自己嫌悪に落ちるのだが・・・。
私はこんな妄想や歪んだ願望を持っていると志保が知ったら、どんな風に思うだろう。常識的には蔑み二度と会うとこはしなかっただろう。
寝取られ男の性癖は古い昔から存在したかもしれないが、20代で、しかも学生の身分で自分の恋人を他人に差し出すことを夢想していた男は極めて少なかったと思う。
その甘美な妄想は結婚後の今も果てしなく続く。それは形を変えて今現在も続いているのだ。

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