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日記番号:1088

淫の刻印 2

アスカ(京都)


  感想集

18 六本木 尾行

榊原は、なかなか、松濤の康子に会いに行く時間が、とれなかった。金曜の夕方、出先から直接、康子の自宅に向かった。松濤の自宅前には、黒塗りのベンツが、止まっている。暫くすると、男にエスコートされた康子が、あらわれ、走り去った。

榊原は、本能的に車のナンバーをメモをして、通りかかったタクシーを拾い、あとをつけた。車は、六本木通りのホテルに滑り込むように、入った。自動ドアを通りエレベーターホールに向かう康子の背後を張が、ついてゆく。ボディガードであることは、誰の目にも、明らかだった。

榊原が、後をつけて行くと、回りの男達は、誰もが、振り向いて康子のボディラインを舐めるように見ている。ブランド物のセクシーな胸の大きく開いたワンピースを着ていた。スリットは、大きく切れ込み、歩く度に、生足の太股が、見せつけられた。バーに行くと、既に客の男が、待っていた。康子と男が、歓談している間に、張は、フロントで、鍵を預かり、男に渡すと、黙礼して、去っていった。

康子は、最初の鋭い視線が、温かみに変化してくるのが、肌身に感じた。
(大丈夫…この男は、私を抱きたがっている。)康子の中で、妖しい感情が、沸き上がる。

榊原は、康子にわからないように、背後の席に座り、聞き耳をたてた。
「政財界からも、絶大な信頼を受けておられる、重要な方と恵子さんから、聞いております。」
「そんな事ないよ。朝まで、いいのかな?」「もちろんです。」

二人は、ゆっくり手をつなぎ、エレベーターに向かった。扉が、閉まる瞬間、男が、康子の腰に、手を添えた。

(康子さんは、コールガール…恵子さん…誰だ~恵子とは…)
榊原は、ガックリ…肩を落として、ホテルを後にした。

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