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日記番号:1073

淫の刻印

アスカ(京都)


  感想集

16 お金をもらう

洗濯も干し終わり、くつろいでいる時、スマホに着信が、あった。ハプバーのマスターからだった。「今日、午後2時、芝公園のホテルM。政治家の方です。3時間程度、お願いします。」
(わたしも、とうとう売春婦ね。)典子は、ふっと思ったが、悪い気は、しなかった。マスターに電話して、簡単な打ち合わせをしてから、もう典子は、どんな下着にしようかしら?と考えている。夫への罪悪感は、感じていなかった。
(夕方には、帰れるし。)

芝公園のホテルは、一流のホテルで、指定のラウンジで、赤い紙袋を右足のそばに、合図として、置いておく。政治家って、年寄りじゃないと、マスターは、いっていたが、…まさに、売春婦の気分で、気持ちは、高揚し、背中が、ゾクゾクと、不安は、あるが、期待感が、上回っていた。

客の男が、現れた。確かにテレビで、一度、見たことはある。背が高く、お役人のような、都庁へ行けば、同じような役人が、一杯いると思った。エレベータに乗り、20階で、降りて、廊下を二人で、歩きながら、ようやく、不安と、罪悪感が、湧いてきた。しかし、それも、ドアを開けるまでだった。

一流ホテルのわりに、豪華と言うより、シンプルで、明るい内装が、気に入った。先日の上野の路地裏でのSEXとは、違っていた。
男は、冷蔵庫からビールを持ち出し、典子にも、すすめた。
背広の内ポケットから、封筒をだし、典子の方に、差し出す。
「あなたへの、今日の料金だ。」
「あたし、売春婦じゃないわ。」
「マスターとの約束だから、受け取れば。10万だ。」
「他に、マスターは、なんと言ってました?」
「素人の人妻さんと。プロは、興味ないしね。」
「でも、今からプロよね。」典子は、金をバックにしまった。
「確かに、でも、やることは、同じだよ。」

典子は、そんなに悪人と思えなくなり、少し安心した。
「あなたを見たことあるわ。」
「どこで?」
「テレビでよ。」
「男は、誰でも、スケベと思っているだろう。」
「そうね。」二人が、出会ってから、初めて、笑いこけた。

「服をゆっくり、脱ぎながら、裸になりなよ。」
「襲われないかしら。」
「脱ぎ方次第では、オオカミになるかも。」

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