メニュー ログイン

日記番号:892

愛する妻を堕した男

志保の夫(首都圏)


  感想集

15.ドアノブカード

色々な思いが頭の中で交錯しながら、右腕を志保の肩の下に回して抱き寄せる。左手で頬を撫でると未だ熱い、耳朶も頬と同じくらいに熱い。
荒い呼吸の合間を計りながら、唇を重ねる。
ぷっくり膨らんだ弾力ある志保の唇を味わい、その隙間に舌を挿し入れると少し口が緩む。歯の隙間に舌先でノックをすると少しずつ隙間が広がる。最初から強い刺激を与えないように時間をかけて口内に侵入する。元彼女の時は性急に責めて舌を噛まれたことがあったので慎重に様子を窺いながら舌先を少し動かす。身体の震えが顎にも伝わりそれが挿し入れた舌を前歯が刺激する。あまり強い刺激を加えると本当に噛まれるかもしれない。反応を見ながら口を開けさせる。
志保の息遣いが激しくなり、苦しそうに喘ぐ。
目的の半分が達成したと思い舌を撤退させる。唇以外にも肌の感触を経験した方が距離が縮まる。
少し強く抱きしめてフリーになっている左手で耳元の裏側からうなじを愛撫する。
指がうなじに触れると小さな悲鳴をあげてピクンと体を震わせた。その瞬間、陰茎の先端が彼女の太もも辺りに触れた。私はすぐに腰を引いたが、彼女がその存在に気が付いたかどうか判らない。
しばらく抱きしめて背中を撫でた。腰辺りまでは触れたがその下のショーツに隠れた部分までは避けた。それ以上進むと自分の欲望を押させる自信が無かったし、チェックアウトの時間も気になった。自分の欲望を押さえたと言えばカッコウよく聞こえるが本音は避妊具を持っていなかったのが最大の理由だ。この事は志保には言っていない。
チェックアウト時間が気になる。あまりのんびりしていると、この娘に自分の刻印を付けないままに東京に帰してしまう。その東京には野島が待っているかもしれない。
ドアノブに<起こさないで・カード>を掛けていたので邪魔する人もいなかったのだが・・・。

《志保の告白》

あの夜ホテルに戻って1人になったら、急に不安になったの。
貴男から彼女宣言を受けてキスもしたのに、それでも何か足りないような気がして・・・。
どんどん不安が強くなって、たぶん興奮していたのね。ベッドに入っても眠れなくて・・・。
ホテルのチェックアウト時間が11時でしょう?
貴男が9時頃に来たとしてもたった2時間しか一緒にいれないだもの。その間にもっと貴男と強く結ばれなくちゃ・・・。もっと貴男と一緒にいたい。
それでフロントに連絡して、チェックアウトを延長したいとお願いしたら、簡単にOKしてくれたの。私のゲストカードにスペッシャルゲストの印が付いているのでお部屋代無料で3時間までサービスすると、言ってくれたの。とても嬉しかったわ。でも、貴男には恥ずかしいから、チェックアウトを延長したことは内緒にしていたの。男の人は短い時間の方が強く燃えると思ったの。よく、駅のホームで汽車が発車する間際に、男性が突然愛に目覚めて、女性を抱擁するシーンがあるでしょう?
その後もなかなか眠れなくて、色々考えたわ。
どうしたら、貴男に愛してもらえるか、どうしたらもっと強い絆で結ばれるか・・・、色々考えたのよ。
結局、陽子的な結論に到達するのよねぇ・・・。具体的な男女の絆ってセックスしかない?考えがそこに集約されていくの・・・。私だって女の子ですから、お互いの信頼や気持ちが大切な事は分るけど、陽子に言わせると、『それは少女的な思い込みで目に見えるものは何も無い夢物語。シンデレラも白雪姫も王子様とHをして幸せになったのよ』と、いたって明快な結論なの。
それで、明日の朝、貴男が来たら自分から飛び込んで行こうと思ったの。ただ、さすがに裸にはなれなかったけど、あれでも相当な覚悟だったのよ。
ディープキス?
知らなかったし、どうしていいのか分らなかった。
でもねぇ、あの後ディープキスの深い意味がよく解ったわ。昔の遊女は本当に好きな人にしか唇を許さなかったと云うお話しを聞いたことがあったの。貴男とディープキスをしてそれが本当の事だと解ったわ。あれって、本当に好きな人としか絶対に出来ない行為だもの・・・。
「あの日はどこまで許すつもりだったの?」
前の夜は全部よ・・・、貴男が求めるもの全て・・・。
でも、ダメねぇ・・・、いざそうなると身体が云う事を聞かないのよ。気持ちは許しているのに・・・。陽子が羨ましく思ったわ。
「それは僕が下手だったからかもしれないぞ。もし、処女の扱いが上手い男だったら、あの日が志保のロスト記念日になっていたかもしれないぞ」
そうかもしれない・・・。だって、貴男が優しすぎるんだもの・・・、もっと強引な人だったら、貴男の言う通りになっていたかもしれない。
「志保は今、野島の事を想像したんだろう?」
いやぁねぇ・・・、貴男ったらいつも最後は野島さんで終わるんだから・・・

前頁 目次 次頁