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日記番号:510

新婚妻のアルバイト

リストラ亭主(横浜)


  感想集

派遣社員

私は38歳の平凡な、何の特徴も取りえも無い極々普通の何処にでもいるような会社員でした。
しかしそれも3月までの話で、今はリストラで失業してしまいました。リーマンショック直後の2008年12月に翌年3月で会社を辞めて欲しいと言われ、それから現在に至るまで就職先を探しています。
しかし何の資格も特技も無い営業畑一筋のアラフォー男に今の時代は甘くなく、そう簡単に再就職の口などありませんでした。
中には興味深い、再就職の割にはかなり条件の良いお話もありました。しかし私に運転免許が無いと分かると、その就職口もなくなりました。

仕事で著しい功績を上げるような、そんな能力を私は持ち合わせていません。
仕事が出来ると評判の課長に指導され、腰巾着のオベッカ遣いとして、課長に上手く利用されながら年功序列で係長になっただけの私です。だから上司と部下との緩衝材としては役立ちますが、新しく自ら仕事を考えて創造するようなクリエイティブな仕事には向いていません。
だから私が最初にリストラ対象になるのは、会社としては当然の選択だったのかもしれません。


妻の遙香は3年前に私が働いている横浜の小さな専業商社に、事務職の内勤社員として、私がいた部署に配属されました。専門学校新卒の20歳の遙香は寿退社した女子社員の補充として、臨時雇用の派遣社員として私の下に配属されてきたのです。
それこそ掃き溜めに鶴と言う言葉がピッタリのとても綺麗で可愛い女の子、と言うのが遙香の第一印象でした。遙香は会社で一番目立つ、可愛い新人女子社員でした。私も含め会社の独身男性社員全員が憧れる、とても可愛い女の子でした。いや憧れているのは独身社員だけでなく、私の上司の禿げでデブで加齢臭が強い妻帯者の50男の課長も、内緒で遙香を独占して愛人にしたいものだ、と一緒に飲むたびに私に漏らしていました。

仕事は出来るが好色な課長が余計な世話と言うのか手出しと言うのか、ハッキリと言えば毎日のようにセクハラをしていました。課長のセクハラの対象は遥香だけでなく、殆んど全ての女子社員が対象でした。特に可愛い独身女子と後腐れが無い人妻女子社員を口説くのに長けていて、課長の精力(性力)は全てが女子社員に向けられました。

しかし可愛い遥香が配属されてからは、課長のセクハラの対象は特に遥香一人に集中していました。


直属の上司でもある係長の私が、遙香に全ての仕事を教える役割を担当しました。私は事あるごとに遙香に気配りを示し、遙香と親しく話しました。上司としては仕事を厳しく教え、また何時でも優しく親身になって相談にのりました。
少し遅くなった夜などは遙香と二人だけで軽く食事をして、私の帰路の途中駅に住む遙香を家が見える場所まで見送って帰ったりもしていました。
私のような間も無く40才に成ろうと言う中年男にとっては、仕事の延長線上での短い食事の時間とは言え、遙香のような若い可愛い女の子の香りを、デートであるかのように直ぐ隣り横で楽しめるというだけでも、それはそれはとても幸せで楽しいひと時でした。夕方でも遙香から微かに香る心地良い薫り、シャンプーかボディーソープか、それにその日1日の遥香が醸し出した体臭が混ざった薫りなのか分かりませんが、を毎日12時間以上も直ぐ横で嗅いでいられるだけで、ひとりで勝手に幸せ感を満喫して満ち足りていました。

最初のうちこそ緊張して堅かった遙香の態度も、私に少しずつ打ち解けてきてくれていました。半年もしない内に私にだけは、何でも包み隠さず正直に相談してくれるようになっていました。
遙香の相談事は当初会社の仕事関係だけでしたが、いつの間にか遙香の個人的な悩みも相談されるようになっていました。

もちろんその中には会社の若手独身者からの毎週のようにある交際申し込みや、会社の殆んど全員の上司達からのセクハラ、特に我々二人の上司でもある我々の課の課長のセクハラの被害についてが、遥香の相談の中心となっていきました。

実は私自身も勇気があれば、課長のように遙香にセクハラやちょっとした接触行為等の悪戯くらいはしてみたい、と言う欲求が少なからずありました。しかし課長のセクハラの陰湿さや他の若手社員の交際申し込みの話し等を毎日のように聞けば聞くほど、小心者の私にはとても悪戯などできそうにもありまませんでした。私の後ろ向きで内向的な性格こそが、私の邪悪な気持ちを実行に移すことを妨げていました。
しかし私のそんな消極的な姿勢こそが功を奏し、結果として遙香の気持ちに訴えかけていたのかもしれません。

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