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日記番号:892

愛する妻を堕した男

志保の夫(首都圏)


  感想集

468.志保怒る

7時過ぎに帰宅し、家族で夕食を取る。
子供が自分の部屋に行き、夫婦の時間になる。いただき物のワインを飲みながらテレビを見ていると、妻が早速「どうだった?」と聞いてきた。
「うん、一応、二人とも会ったよ。堂本さんとは話ができたけど、張さんは顔を見ただけだった。二人ともプロフィール通りで特に問題は無かったよ。張さんの写真に写っていた女性もいたよ。張さんの店のスタッフは全員が中国人のようで中国語で会話していたよ」
「お手紙の通りなのね。その女性たちも張さんの愛人なのよね」
「彼女たちも留学ビザで入国して、本当の目的は出稼ぎなんだけど、身元保証人が必要だから、結局はそのような立場を受け入れざるを得ないんだろう」
「それは分かるけど、張さんという人は奥さんの手紙にも書いていたけどすごい精力家なのね?」
「ああ、見るからに〝性豪〟という感じだったよ。僕の印象からすると、これまで僕たちが出会った男性ではたぶん一番かもしれないよ」
多少オーバーに言う。
「え、えっ!そんなにすごい人なの!?」
「志保が相手をしたら、朝まで放してくれないかもしれないよ、どうする?」
「わぁ!どうしよう・・・、松倉さんや植村さんよりもすごいの?」
「うぅ~ん、彼らとは比較は出来ないけど、テクニックよりもパワーで攻めまくるタイプかなぁ・・・」
「そんなに強そうな人なの?」
「そうだなぁ、あくまで僕の想像だけどね、3人の女性と毎日セックスしているんだったら相当強いと思うよ。もしかしたらテクニックも・・・、なにしろ中国の〝性愛技術〟は『閨房の秘術』と、言って4千年の歴史があるし、日本でよく言われる48手も中国が発祥らしいからね。性愛文化としてはインドと並んで世界最高レベルらしいよ。<金瓶梅>に代表されるようにテクニックもパワーも中国人には敵わないかもしれないよ、はははは」
私は笑いで誤魔化したが、妻は真面目にとらえたかもしれない。
「張さんのお手紙は正直そうだから、3人の女性のお話も本当のことかも・・・、私お相手できるかしら?」そう言うとふーっとため息をついた。
その後、顔を上げると「堂本さんはどんな人だった?」と聞く。
「とても誠実そうな人で、整体院は繁華街と住宅地の間にあって、あまり目立たなかった。1階に受付とマッサージ室があって、マッサージ師は堂本さんだけで受付は彼のお母さんが手伝っていると、言っていたよ」
「そう・・・、やはり、目が悪いの?」
「ああ、だから、彼から『外では会えないので、もし、お付き合いする場合はこちらに来てほしい』と、言われたよ」
「えっ!そこまでお話が出たの?」
「実はね、キミと同じで、すぐに僕の正体が割れてしまったんだ。だから、回送レターをもらった〝ヤグルマソウ〟で堂本さんの身元調査に来たことを白状したよ。そうしたら、堂本さんはかなり色々なことを正直に話してくれたよ。特に〝性感マッサージ〟事なんかを・・・」
「堂本さん、普通のマッサージだけじゃないの?」
「それだけじゃ食っていけないそうだよ。そちらの方が評判が良くて、口コミだけでお客が来るそうなんだ。そのために一般的なマッサージの他に特別なコースと部屋も用意しているんだ。一般的なマッサージは夜の8時までで、〝特別なコース〟は10時以降で予約客だけにしていると言っていたよ」
「特別コースが〝性感マッサージ〟なのね?そんなに評判がいいなんて、どんな人が来るのかしら?」
妻も〝性感マッサージ〟に好奇心が湧いたようだ。
「あまり若い女性はいなくて、ほとんどが閉経前後の中高年の女性で最初は更年期障害の症状を訴えて来るそうだよ。しかし、堂本さんのマッサージで回春して次の予約の時は〝特別コース〟にするそうだ」
「ふぅ~ん、それならわざわざ交際誌の回送レターで申し込まなくてもいいと思うけど・・・」
「そのことは僕も気になったから聞いたよ。そうしたら、中高年のだぶだぶのお腹やお尻をマッサージしていると、時々自己嫌悪に陥るそうなんだ。いくら目が不自由でもやはり美しい女性に憧れを抱くんだそうだ。以前から交際誌は眺めていたそうだけど、志保の写真を見て初めて回送レターを出したと、言っていたよ。交際誌の記事は拡大スコープを使って見るそうだけど、実際の手紙はもしかしたら別の人が代筆したかもしれない」
「堂本さんにそんなに親しい方がいらっしゃるのかしら?」
「身近にいる人はお母さんかなぁ。それに、お客さんの中には3Pを希望するカップルもいるらしいから、親しくなった人に代筆を頼んだかもしれないし・・・」
「堂本さん、そんなプレーもするの?」
「マッサージ師を交えた3Pは初めてSWを始めるカップルの入門とも言われているからねぇ」
「そうなんだぁ・・・、色々と経験されているのね?私、すごく純朴な人たちと思っていたから、意外な感じがするわ」
「だから、あまり気を遣う必要が無いかも。それに色々な体験をしている分、女性の扱いが上手いかもしれないよ」
「貴方としてはどうなの?」
「堂本さんも張さんも、今までの僕たちの交流範囲に無かった人たちだから交際してもいいのかなぁと、思うけど・・・、ただし、最終的にはキミが決めることだけど・・・」
「そうねぇ、お付き合いしても特に何か問題になるような人たちでなければ、おもしろい人たちかもしれないわ。また後で相談しましょう。実は私の方からも相談することがあるの。SW相手の太田さんご夫妻と瀬川さんご夫妻なんだけど、どちらのご夫婦も奥さんがお仕事をされているのよね?」
「そうだけど・・・、それが何か問題があるの?」
「私、前回と同じように昼間にお電話しようと思っていたの。でも、奥様がお仕事をしていたら、日中はお留守なの。だから都合が良いのは夜だけなの。それで、今夜、電話をしてみようかと思うの。どうかしら?」
「それはいいけど、向こうは子供はいるのかなぁ」
「それも聞いてみるわ。あまり遅くならないように電話をします」
「非通知を解除したほうがいいよ。非通知だと迷惑電話と思われるからね」
妻は回送レターにあった電話番号にかける。
すぐに相手がでる。奥さんのようだ。
「太田さまのお宅でしょうか?―――、奥様ですか?私、お手紙をいただいた〝ヤグルマ〟と申します。夜分恐れ入りますが、今、お話よろしいですか?」
妻のSW電話も慣れたせいか落ち着いて応答している。
その後、妻同士で家族のことやSW体験について話している。(中略)
妻が携帯を離して、「貴方、こちらの都合を聞いてきているんだけど、どうしましょう?あちら様はご夫婦二人だけなので夜ならいつでもいいそうなの」
「僕としてはやはり週末がいいけど・・・。それにデート型を希望していることも伝えた方がいいよ」
妻は再び話を始める。(中略)
「それでは、また後日、はい、都合の良い時間は10時過ぎですので、こちらの番号にお願いします」と、言って携帯を切った。
「取り敢えず、太田さんとはコンタクトが出来たわ。次は瀬川さんだけど、ご主人はいると思うけど、奥さんは看護師さんだから、もしかしたら夜勤でいないかもしれないわ。瀬川さんのお宅は親御さんと同居しているから、どなたが出るか分からないわ。それにお子さんもいるので、ちょっと緊張するわ」
妻はもう一度回送レターに目を通してから電話をかける。
「もしもし、瀬川さんのお宅ですか?」
「ご主人さまですか?―――。お手紙をいただいた<ヤグルマ>と申します。―――。奥様は?―――。そうですか・・・。今、お話しても大丈夫ですか?―――。分かりました。それでは30分後に、そちらにかけ直します」と、電話を切った。
「瀬川さんの奥さんは今、お風呂に入っているそうなの。それに、自宅の電話は都合が悪いので、携帯の方にかけ直してほしい、って」
「そう、やはり親御さんがいるんだね、旦那の印象は?」
「とても優しい感じの声だったわ」
30分後、携帯に電話すると、瀬川氏が出たようだ。
「今、お話しても大丈夫ですか?―――。ありがとうございます。お近くに奥様はいらっしゃいますか?―――。もしご都合がよろしければお電話代わっていただけますか?―――」
瀬川夫人が電話に出たようだ。
「初めまして<ヤグルマ>の家内です。この度はお手紙いただきましてありがとうございました。―――。はい、たくさんご夫婦からお手紙をいただきまして、ご連絡が遅くなり申し訳ございませんでした。―――。それは瀬川さまご夫妻がとても素敵な方と思いまして・・・。はい、交際誌には別々にメッセージを投稿しておりますけど・・・。―――。はぁ、そうですか・・・。―――。それはちょっと・・・。―――。確かにそうですけど・・・、夫婦交際と単独交際は目的が違いますので、それは困ります。私たちは1回のメッセージで夫婦交際は一組のご夫婦で、単独交際も実際にお会いするのは1人の男性だけに決めておりますので・・・。―――。今回はたくさんのお手紙を頂戴しておりまして、一応お会いする方も決めましたので・・・。―――。はい、申し訳ございませんが・・・。それでは瀬川さんご夫妻は、今回はご都合が悪いということで・・・、またご縁がありましたら・・・」
妻はいかにも不愉快な顔をして電話を切った。
「ひどいお話だったわ。すごく失礼で、本当に不愉快だわ」
「奥さんに代わってからキミの顔が厳しくなったので、きっと何か不愉快な事を言われたと思ったけど・・・」
「要するに、奥さんはSWをする気はあまり無いみたい。ご主人が勝手に回送の手紙を書いたようなの。『私は仕事が忙しくて体調も悪いので、主人だけで交際してください』と言うのよ。その後、ひどい事を言うの。『奥さんは単独交際も求めているので主人1人でもいいでしょう?』だって、本当に馬鹿にしているわ」
妻はかなり腹を立てているようだ。
しかし、それでも瀬川夫妻はまだ良心的な方だ。
悪質な連中は、実際は奥さんにその気が無いのに誠実な夫婦を装って相手を信頼させ、プレーをするのは旦那だけで、当日、奥さんは都合が悪いと言って現れないと、いう話は何度か聞いたことがある。つまり、旦那だけが人妻とセックスしたいだけなのだ。それに奥さんが協力することも〝夫婦愛〟と言われると、寂しい気もするが・・・。
瀬川氏の一件はそれで終わらなかった。
翌日の日中に瀬川氏から電話が入り、『奥様の事が諦め切れないので、どうしても会いたい』と、しつこく口説いたそうだ。
さすがに妻も怒りを抑え切れず『奥様に連絡しますけど、それでいいのですね!』と、言ったら、『それだけは止めてほしい』と慌てて言ったらしい。この事もあり、瀬川夫妻とは全て終わりになった。
やはり、SWの相手選びは妻同士の意思確認が重要であることが改めて分かった。

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