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日記番号:844

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幸治(都内)


  感想集

77章【残り香】-1

私が睡魔に屈服し、夫としてその存在を消失した後、陽子はどうしたのだろう。
普段の夫婦生活ではそのまま朝を迎えることは非常に稀だ。激しく逝った時でも、醒めると、トイレに行ってビデで陰部を洗浄したり、浴室でシャワーを浴びることが習慣となっている。
昨夜も同じようにしただろう。
小野氏との情事を意識して普段より丁寧に洗浄したと思う。
問題はその後の行動だが、やはり小野氏が待つ部屋に行ったと考えるのが自然だ。
隣室で私たちの情交を聞いた小野氏はどのような態度で陽子を迎えただろう。
私のこの疑問に答えてくれるのは小野氏だけだ。
爆睡してしまった私の空白を埋めてくれるのは彼からの報告を待つしかない。しかし、今まで通りに報告してもらえるかどうか不安がある。何故なら、彼との約束では、その時私は寝たふりをしていて、密かな二人の情事を覗き見する手筈になっていた。私の爆睡も彼には〝演技〟と映っていただろう。そう考えると、彼がこれまで通りに一部始終を報告してくれるだろうか。
私から正直に話して彼から報告を聞くしかないのだが・・・。
これは簡単なようであるが、実際に訊くとなると非常に難しい。
『実は非常に疲れていて、つい爆睡してしまい朝まで何も知らなかったので』とは言えない。まして、予定にはまったく無かったセックスをしている。直前に彼から陽子を奪ってしまった。その事を彼が不快に感じたら、素直に事実を報告してくれないかもしれない。
色々考えたがもっともらしい理由が思い付かない。とにかく、今は彼からの連絡を待つことにしよう。
9時過ぎ陽子が起きてきた。
「貴方、もう寝ないんですか?」
「ああ、何だか目が冴えちゃって・・・、陽ちゃんこそ、未だゆっくり寝ていればいいのに・・・」そう言うと、私の近づくことも無く、避けるように自室に入る。
その後、着替えてキッチンに行き、朝食を作り始める。
私もまだ顔を洗っていないことに気付き、洗面所に行く。洗濯物を入れる籠の蓋が半分開いていたことに気付き、中を見ると陽子のパンティやブラジャーが見えた。昨夜小野氏に脱がされたサイドリボンパンティから穿き替えた白いビキニパンティと判る。昨夜の小野氏との関わる物は慎重に全ての痕跡を消したのに、陽子にしては珍しく間の抜けたミスだと思う。たぶん、いつもの習慣で、今朝穿き替えた物を何も考えずに籠に放り込んだのだろう。
脱いでから時間が経っていないので、股布部分には白い生クリーム状の分泌物が付いている。
パンティ全体からは陽子の甘い体臭がふんわりと匂うが、その部分に鼻を近づけて臭いを嗅ぐと、普段の甘いアンモニア臭に混ざって陽子の分泌液とは違う少しキツイがする。それは少し時間が経った精液とすぐに判った。精液は青臭い独特の臭いだが、時間の経過と共に卵が腐ったような臭いがする。
これは小野氏の精液の遺留物なのか?それとも私の物なのか区別がつかない。
小野氏の〝ワクチン注射〟の遺留物なら、もっと量が多いはずだが、やはり陽子が事後に洗浄したのだろうか。
私が射精した後、洗浄して次に小野氏の射精を受ける。ウォシュレットのビデで洗浄しても膣内の深部に貯まっている精液は完全に洗浄されない。しかし、その後、小野氏のペニスで掻き回され、そして射精を受けたとしたら、私の精液は排除されて残ってはいないだろう。そう考えるとパンティに付着した精液は小野氏のモノとなるが、量が少ないのはやはり事後に洗浄したからだろう。もし、小野氏が〝ワクチン注射〟行為をしなかったら、それは私のモノとなるが・・・。
私と小野氏の精液の違いはあるのか?残念ながら私は他人の精液と比べた事が無いのでその違いは解らない。ただ一つだけ分かったことは昨夜から今朝にかけて陽子は3枚のパンティを穿き替えたことになるのだが・・・、2枚目から3枚目に穿き替える理由は何だったのだろう。しかも2枚目のパンティも淫水で汚れていた。
パンティを洗濯籠に戻して、ダイニングキッチンに戻る。

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