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日記番号:747

夢は妻とともに…

傍観者(関東)


  感想集

私の心臓は早打ちを繰り返し、鼓動しか聞こえないほどの興奮状態でした。
「み…みえ…こ……-」
私のやっとの思いで発したかすれた声に、妻は薄く目をひらき何かを言いかけましたが、それを遮るように吉沢さんが口をひらいたのです。

「奥さん、大丈夫ですか…。」
「………」
「私は今、奥さんと結ばれた喜びと、奥さんからこの身に伝わる熱で、欲望をおさえられない状態になっています。」
「………」
「動いてもいいですか?」
妻を思いやる優しさを伴った、吉沢さんの声が部屋中に響きます。

ほんの数時間前まで、写真での姿と私から聞きえた人柄しか知ることの無かった、まったくの他人である吉沢さんの…
全てを脳裏に焼き付けようとするかのような熱い眼差しに、裸体の隅々までを晒しながらも…
硬く強張った心に染み入り、少しずつ溶かし和らげるかのような優しい言葉に、気持ちを揺り動かされながらも…
素肌にふれる瞬間瞬間にも、細やかな気遣いを感じさせられるふるまいに、身をまかせながらも…
次第に熱を帯びはじめた体の上を、蠢よくように動き刺激する指先が、太ももを伝い秘部へと届いたときも…
自分自身を失わぬよう必死に耐えてきた妻…
その妻、美枝子は今、薄い皮膜で覆われているとはいえ、私以外の男の性器に身を貫かれ、なおその持ち主から、その先に待つ試練への受諾を求められている。

私の夢を叶えるために、精一杯理解しよう協力しようと、努力してきた美枝子の気持ちを思うと苦しい。
心から、心から愛している!叫びたいほど想い焦がれる美枝子を抱いている吉沢さんが憎い。
しかし、そんな気持ちに反して私の性器はいつもよりも数段固く反り起ち、赤黒く光る頭の先から溢れた透明な体液がつたい流れていることを知った時です。
「奥さん、動いてもいいですか?」
吉沢さんが、優しい声で美枝子にもう一度問いかけました。

「………」
応えない、いや応えられない美枝子。
吉沢さんは、ゆっくりと美枝子の耳元に唇を寄せ小さく何かを囁くと、美枝子は小刻みに首を横に振りました。それを見て吉沢さんは更に囁きましたが、美枝子は同じように首を横に振りました。

吉沢さんは、美枝子の肩に置いた左手で、クルリと肩先を撫でるとそのまま首筋を伝い、美枝子の顎に添えました。そして顔をゆっくりと自分の顔の近くに導き、頬に二度口づけをし、短く囁いたのです。
美枝子は躊躇いがちに顔を少し伏せ、ゆっくりと唇をひらきました。
そして小さく緊張した舌先をそっとその間からのぞかせたのです。

吉沢さんは頬にもう一度軽くキスをし、そして強く美枝子の唇を吸いました。
美枝子の唇を奪われるという衝撃は、想像を遥かに超えるものであった上に、その事実が、ふたりの交わり後であると言う事が余計に衝撃を大きくしました。

「んっ、ンッ…」
《チュ…ジュュ…ュ……》
「…ンっ、んッっ………んっ…」
声とも取れぬ声に混じり、舌を、口内を吸う音が二人の唇から漏れてきます。

「…んんんっ……ん…..」
《ピチョュュ…ピチュュ…ジュ………チュッ、チュ》
やっと、やっと二人の唇は離れました。
美枝子はゆっくりと首を戻し、薄くひらいた目で私を探しているようでした。
(美枝子俺はここにいるぞ!)
美枝子の視線を捉え、掻き乱された心に安堵感が広がるのを感じたとき、その視界の端から現れた吉沢さんが、美枝子の耳に唇を近づけ短く告げたのです。

「いいね…。」

美枝子は、私を見つめる両目に薄っすらと涙を浮かべ、微かに震えた唇でこう呟きました。
「………。……お…ねがい……しま…す……」

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