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日記番号:582

私たちの消せない記憶

うげんこう(東京都西部)


  感想集

47 敵意の目

「そうだ」と言うとうつむいたまま、「10回ほど」と消え入るような声で言いましたが、 なに?、その位で写真を許すのかと無性に腹も立ってきました。

多分そんなものじゃあないだろう。
だが去年の暮れから10回としても、かなりの頻度で逢っていた事になります。
いつからだと聞くと、思いもしなかった一昨年の暮れからだと覚悟を決めたようにさらっと言いました。
私は妻を凝視しました。
顔を上げた妻は、一瞬恐怖の表情をしましたが、意思のある目でハタと私を見返すと、すぐに下を向きました。
私はたじろぎました。 結婚してから、一度もそんな強い目を返したことのない妻が、初めて自分の意思を私にぶつけたと直感的に思ったのです。
あの目は、「だからどうしたというの」と言う挑戦者の目か、「何もかも捨ててしまうから」と言う自暴自棄の目なのか。
なんとなく妻は本気なんだ、、、、と思いました。
敵意と意思を持った目がぶつかった瞬間です。

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