メニュー ログイン

日記番号:844

DELETE

幸治(都内)


  感想集

11章-5

あの日以来、夫婦の営みの頻度は確実に多くなったし、陽子のオルガの山も急に高くなったと感じている。
そして、陽子は他人の性を知ったことで、その快楽の深さに大きな関心を抱いた。
私が妄想しながら陽子を抱いているが、陽子も私の妄想の中に入って来る。この現象は明らかに私たち夫婦の間に幻影の他人が入って来た事を意味する。
それを刺激として夫婦の営みをすることは正常な性生活なのだろうか?妻が他人に犯されることを妄想してセックスすることは正常と言えるだろうか?
私たち夫婦は正常な夫婦生活から道を逸脱し始めているのでは?と不安になる。
あの夜の実体験や他人とセックスする妄想は友人が言った『男のワクチンの予防接種』に入るのだろうか?
(自分の愛妻を他人に与えると言う変態的妄想は私自身が精神的に異常を来しているのでは?)と、悩むことが多くなった。
それは、寝室での陽子は私の妄想に付き合ってくれるが、それ以外の場所では、その種の話題には一切同調しないし、はっきりと否定されてしまう。
「もし、ヨーちゃんが気に入るような男がいたら、付き合ってみたい?」
「そんな人はいないし、そんなバカな事は言わないで!」
初めの頃はそんな調子でピシャリと会話を終えてしまっていたが・・・。
しかし、私の妄想は消えるどころか増々増幅している。
最近では妄想が現実的な願望となってきている。
しかし、自分自身のセックスや夫婦の性生活を相談する相手を探すことは非常に難しい。
どんなに親しく付き合っている人でもセックスを相談することはまず出来ないと思う。性に纏わる事は世間的には裏の私事であり、表社会に公開することはタブーである。日常社会で関係している人とのセックス談義をする場合でも一般論や猥談として話すことはあっても自身のことは口を噤むものだ。
しかし、まったく逆に仕事上の利害関係が無く、社会的に接点が限られている人ならば意外と素直な気持ちで話せる事ができる。例えば占い師、カウンセラーはその代表かもしれないが、スナックやバーのマスターやママ、それにその店だけで会話を交わす客もその中にはいるかもしれない。
私がこの難問の相談相手として小野氏の顔が浮かんだのはそんな理由からだった。
再び小野氏に会いたいと思い付いた理由は相談だけでは無かった。
小野氏に会った夜から、私の妄想の主役はあの中年男から小野氏に代わっていた。

前頁 目次 次頁