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日記番号:1073

淫の刻印

アスカ(京都)


  感想集

42 そして京都、大阪

新幹線が、東山トンネルを抜け鴨川の橋を渡るあたりから、ガクン~と減速し、左前方に東寺を見ながら、すべるように京都駅に入る。
「帰ってきたのね。」
「ああ…帰ってきた。」
龍と典子は、先斗町で食事を済ませ、木屋町のMAXグループの事務所で、打ち合わせしてから、大阪鶴橋に向かった。鶴橋は、半島系の人間が、多く、独特の雰囲気がある。

「おっす~」龍が、ある事務所へズカズカと入ると、2~3人の男達が、飛んできた。「なんや~われ~挨拶もろくにせんと。」
「‥‥‥」
「てめえ…だれや…」
「ゴキ…おるか?」かなり険悪な雰囲気の中、奥の方から、凶悪な男が、顔を、出した。「なんやねん~殴り込み~」
「ゴキ、元気そうやな。」
「なんや…龍やないか。ケンカ、売りに来たのか?」
典子は、龍の後ろに隠れて、縮みあがっている。
「ゴキ、泊めてくれ。」
「お前ら~オレの友達や…解散や~」男達は、じろじろ二人を品定めしながら、引き下がっていった。

「で、…その女は、嫁か?」
「違うよ。商品…」典子は、ムッ~とした顔で、龍を見た。
ゴキと呼ばれた男は、典子の爪先から、頭の上まで、舐め回すように、見た。
「正直に言え。誘拐してきたんか?」
「ちゃう~ちゃう~本人に聞いてくれ。」
「姉ちゃん、ほんまか?自分で来たんか?」
「はい。」典子は、笑いながら、返事をした。

「よかった~オレは、ヤクザやけど、悪い事は、キライやねん。おい~客が、来てるんや。お茶を出さんかい~お~い。お茶。」



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