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日記番号:892

愛する妻を堕した男

志保の夫(首都圏)


  感想集

41.空白の時間③

一年目は帰国できなかった。
4月に赴任して間もなく業務にも慣れなくて夏休み返上して仕事をしていたし、クリスマスも正月も仕事をしていた。
志保と同じように私も寂しい気持ちで独り寝の夜を過ごす。
暗闇の中で、志保が屈強な男達に嬲られる姿を妄想しながら果てる。男の欲望はどんな方法であれ、射精すれば区切りはつくが、女は射精と言う現象が無いぶん終わりが無いと言う。それに、志保はオナニーは覚えたがそれによって逝ったことは無いと告白していた。志保にとっては、オナニーは寂しさを紛らわせる手法にはならない。
志保には当分帰国できないことを詫びてプレゼントだけは贈った。
ニューヨークに本店がある有名な宝飾店のイヤリングで、銀に小さなダイヤが付いたハートが3個つながったデザインだった。
クリスマスプレゼントは毎年私でも買える小さな宝飾品を贈ることにしていた。円高だったので意外に安く買うことができた。
志保からは毎年、手編みのセーターやマフラーが贈って来た。
日本にいる時はお互いにそれを身に着けてデートしていたが、その年は2人別々のクリスマスと正月を迎えた。
志保からは早速お礼のmailが届いたが、その内容は何となく寂しさが感じた。
私も志保が編んでくれたマフラー姿の写真を添付して送った。海外勤務もあと1年余りなので、我慢して欲しいことも書き添えた。それが、志保にはあまり慰めにならない事も分っていたが、私がそれ以上出来ることもない。
志保からは翌日返事が届いた。

≫省吾さんにご心配かけてごめんなさい。省吾さんがいつも言っている、海外勤務の評価が将来の2人の幸せにつながることはよく解っています。省吾さんが無事海外勤務を終えて帰国したら、私たち結婚するんですよね。でも、どうして時間の流れがこんなに遅いんでしょう。貴男の写真を抱きしめて眠ります≪

志保のことが愛おしく、可哀そうに思えた。
その後、志保からのmailがしばらく途絶えた。
年末年始、運送業界は最も忙しい時期だと解っていたのでしばし、そっとしていた。特に最近は元旦から営業をする店が増えたし、コンビニに休みが無い事も運送業に影響を与えている。
逆に私は欧米圏がクリスマス休暇なので仕事量は多く無い。
志保からmailが届いたのは日本時間の31日だった。

≫今日、やっと年末の仕事が終わりました。私は一般社員なので3日までお休みをいただきました。年末の多忙期を経験してやっと仲間として認めてもらいました。お蔭で2kgも痩せてしまいました。
3日間はお家でゆっくり休むつもりです。ドイツに赴任している兄も29日から帰国していますが、明日から彼女の実家に行くと言っています。たぶん、来年中に結婚式を挙げることになりそうです。私たちの結婚式はもう少し先になりますが、それを夢見て来年も頑張ります。
お元気で新年を迎えてください。永遠の愛を添えて 心の妻 志保≪

≫明けましておめでとう。
そちらはもう新年を迎えたのでしょうね。こちらはクリスマス休暇が終わって活気が戻ってきました。正月休みは元旦だけです。それ以降は通常勤務です。
志保もやっとお姫様社員から企業戦士になったようですね。お正月はゆっくり休んでまた頑張ってください。2kg痩せたとの事、きっとシェイプアップされて良いスタイルになったと想像しています。でもあまり痩せると女性の魅力が下がるのでほどほどに。僕はやっぱりちょっとプックリした志保が好きだす。毎日志保の水着写真を見て永遠の愛を誓っています。あと1年3ヶ月我慢します。
永遠の愛を添えて、心の夫 省吾≪

ここまでは何処にでもいる遠距離恋愛の2人だった。
しかし、この3日後に志保から送られてきたmailを見た時、それまでは私の心の内側だけに潜んでいた歪んだ性癖が急速に膨張して、ついに心の外に飛び出してしまった。

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