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日記番号:844

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幸治(都内)


  感想集

11章-2

陽子と私の寝室での会話はやがて現実と妄想の境が曖昧になっていく。
「ただし、世の中にはあの夫婦のように他人とセックスする事を趣味にしている夫婦もいるんだよ」
「そうなのね、びっくりしたわ、趣味や嗜好が合っただけで初対面の人とセックスをするなんて、私にはとても理解出来ないわ」
「それはたぶん、彼等が異常にセックス好きなのかもしれない。一種のセックス中毒かもしれない」
「セックス中毒?そんな人いるのかしら?」
「セックスの快楽にハマって、更に強い刺激を求めて過激な行為に走る人は世の中にはたくさんいると思うよ。〝夫婦交換〟や〝SM〟のようなアブノーマルセックスを共通の趣味にしている人達にとって、それが夫婦の愛情確認なら他人はとやかく非難はできないよね?」
「夫婦がお互いに他の人とセックスしたり、SMのように変態セックスすることが愛情確認の方法だなんて、私には理解できないわ。それじゃ結婚している意味がないじゃないの?」
陽子は何度も異常性愛の世界を理解出来ないと言う。しかし、その裏返しは異常性愛がもたらす何事にも替えがたい甘美で尚かつ人格までも燃え尽くす人の淫慾凄まじさを知らないからだ。(もちろん私にも経験がないので偉そうなことは言えないが・・・)
「それは常識的な夫婦生活している人には理解できないかもしれないけど、愛情確認の方法はそれぞれ夫婦の価値観によって違うと思うよ。あの夫婦の場合はお互いに他人とセックスすることでコミュニケーションを保っているかもしれない」
「夫婦がセックスで結ばれている事は何となく解るような気もするけど、それが夫婦以外の他人と・・・、私はやはり幸治さん以外の人とセックスは絶対にイヤだわ」
「でもさぁ、あの時ヨーちゃんもかなりエッチな気持ちになっていたよね?」
「まぁ、私だけじゃないわ、幸治さんだって、すごく興奮していたでしょう?」
「まぁねぇ、話には聞いた事があるけど、実際には初めてだったから・・・」
「ヨーちゃんもあのオヤジのチンチンを見ただろう?」
「私が意識的に見たんじゃないわ、無理に見せられたのよ!」
「あのオヤジは露出趣味があるって、女が言っていたよね?きっと自慢なんだよ」
「男の人はオチンチンが自慢なの?」
「それは人それぞれと思うよ。他人に勃起したチンチンを見せるは変態だろうね?」確かに男の世界では大きさを自慢する傾向あるけど、刀と鞘は両方の形や大きさ・長さが合わないと上手く収まらないだろう?心はもちろんだけど、体の相性が合わないと幸せな夫婦とは言えないと思うけど・・・」
「そうよねぇ、幸治さんと私は心も体も全部ぴったり合っているのよね?」
「そうだね・・・」と、曖昧な返事をするが、心はともかくとして、体の方はお互いに一人しか知らないからそう思うしかない。
ふと、離婚した友人の話が思い浮かぶ。
『俺たちはずっと自分達が最良のカップルと思い込んでいたんだよ。それまで比較する対象がいなかったからなぁ・・・』
私たちの寝室ではほぼ毎日、旅館で会ったカップルの話題に終始する。その内容は時間が経過と共に見聞した事象をさらに詳細に語り合い、その時々に感じたことを告白し合った。
やがて、私たちは体験した事実を語り合っているうちに『もしも・・・』、『だったら・・・』という〝妄想の世界〟に飛躍して二人だけの淫な遊戯にハマって行く。
その日の出来事を整理すると幾つかの事実と憶測に要約される。
あの日、私たちは〝夫婦交換〟を実践しているカップル(夫婦?)に出遭った。
露天風呂で陽子は初めて夫以外のペニスを見た。その上さらに陽子はそのカップルのセックスを見せられた。
陽子は夫以外の男に全裸姿を見られ(事実)。その男に何かされたかも?(想像)
最後に、私たちはそのカップルから〝夫婦交換〟プレーの誘いを受けた(推測)
これらは全てが初めての体験でしかも衝撃的だった。
また、それらの体験は全てが受動的でもあった。
この中で、陽子に衝撃を与えたことは男の勃起したペニスだったことは既に記述したが、実際に、この事は何度も寝室で語られた。それだけ陽子が他の男のペニスに興味を持ったことは疑いが無いと思う。

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