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日記番号:892

愛する妻を堕した男

志保の夫(首都圏)


  感想集

34.契り①

病院から実家に行く途中で昼食にラーメンを食べた。
志保は味噌ラーメンを私は塩ラーメンを注文した。東京では醤油系やとんこつ系が多いので、志保は味噌ラーメンが美味しいと言った後、私の塩ラーメンも箸を伸ばしてきて、私が使った蓮華も何の躊躇もなく口に付けた。これが全てを知り合った後の男女関係の姿なのだろうと、今でもよく憶えている。
その後スーパーに寄って父の夕食の惣菜を買って実家に着いたのは1時過ぎだった。
志保が着替えたら車で空港まで送る予定だ。
家の鍵を開けて、誰もいない実家に志保と一緒に入る。
「まだ新しいのね?」
実家は3年前に買った建売住宅だ。
居間に案内すると、北海道の家では当たり前の大型の石油ストーブがその存在を主張する。
「へぇ~、ストーブってこんなに大きいの?東京とは違うのね?」
「徒然草での一節で>家の作りは、夏をむねとすべし、冬はいかなる所にも住まる<と習っただろう?でもこれは北海道では逆になるんだよ。だから試験でこの問題が出題すると北海道の学生の正解率が低くなるんだ」
「北海道の冬は寒いけど、お家の中はとっても温かいと聞いたことがあるけど、こんなに大きなストーブがあるのね」納得したように言う。
「省吾さんのお部屋は?」
私は二階の私の部屋に案内する。
二階には2間あり、隣室は嫁ぐ前の姉が使っていたが今は空き部屋となっている。その事を言うと「もし、私が貴男と婚約して小樽にきたらこのお部屋を使ってもいいのかしら?」と言う。
「いんじゃないか」と、答えたが、それが実現したのはずっと後のことだった。
自分の部屋に案内すると、「意外に綺麗なお部屋ね。男性のお部屋って散らかっていると思っていたわ。あっ、それは私の兄のお部屋のことよ」志保は慌てて付け加えた。
私の部屋は6畳間のフローリングで机とベッドと本箱しかない。壁のポスターや本も高校生まで物で、この部屋で過ごすのは帰省した時だけだ。
「この部屋で着替えるといいよ。僕は下に行っているから」
志保を1人残して、居間に戻った。
それから15分後経った頃、二階から私の名前を呼ぶ声が聞こえた。
居間のドアを開けて、「どうした、何かあったの?」と呼びかけると、「ちょっと来て!」と返事が返って来た。
部屋のドアは閉まっている。
「入るよ」と言ってドアを開けると、部屋はカーテンが閉められていて薄暗い。
志保の姿が見えない。
部屋の中を見回すと、ベッドの布団が盛り上がっている。頭もすっぽりと布団の中だ。
「どうした、具合でも悪いのか?」
布団の端を捲ると両手で顔を隠して体を丸めている。白いブラジャーの肩紐が見えた。
北海道の真夏は本州程で無いにしろ、日中は30度を超えることもある。窓を閉め切り、カーテンまで閉めていると部屋の温度はかなり暑いしその上、布団まで掛けていると正にサウナの暑さだ。北海道の普通の家にはエアコンは付いていない。窓を開ければ涼しい海風がその代用をするからだ。
「暑いだろう?」と、声をかけると、その返事とは別に「こっちにきて」と小さな声が返って来た。
志保の着替え用の上着が椅子に掛かっている。上着だけを脱いでベッドに入ったようだ。
カーテンは閉めているが真昼の太陽は輝いている。カーテンの隙間から漏れる光だけでも部屋の中は明るい。志保の首筋に汗が光る。
昨夜は明りを点けるのをあれほど嫌がっていたのに、初体験は少女を大きく変えてしまうのか。
「少し窓を開けてもいいかい?風を入れると涼しいから・・・」
「恥ずかしいわ・・・」
私は、窓を少しだけ開ける。海風が入って開け放ったドアから抜けていく。風はカーテンを揺らしてその分部屋が明るくなる。
「省吾さん、恥ずかしいから早く来て・・・」と、布団で胸元を隠して催促する。顔が赤い。
私は、ベッドの側でTシャッツとズボンを脱ぐ。志保が私を見ている。その視線を意識してワザと昨夜と同じビキニブリーフを見せる。既に陰茎は十分な機能を発揮できる程勃起してブリーフを持ち上げている。
「あっ、すごい・・・」小さな悲鳴を上げたが、今日の志保は視線を逸らさなかった。
私は布団を剥がす。
「きゃっ!いやっ!」悲鳴を上げて布団を掛けようとしたが、私が覆い被さる方が早かった。

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