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日記番号:582

私たちの消せない記憶

うげんこう(東京都西部)


  感想集

34 尾辻とは

明るすぎるのでカーテンを閉め、落ち着いた状況にし話し出すのを待った。
私の頭の中では、尾辻との関係が出来たのは最近のことで、何度か寝たにしても魔が差したのだろうくらいに考えて、一通り聞いたら逢わない事を条件に、すぐ許すつもりでいた。
話しにくいと思ったので最初は尾辻とはどんな人物なのかを聞いた。
尾辻は国内の大手のホテルマンで、最近定年になり子会社のホテルの支配人をしており随分前から尺八の勉強をしている人物らしい。
いずれ自分でも教室を持ちたい希望を持っているようで、教室は違うがその力量も師範なみという噂だそうだ。
そんなことより定年という言葉が気になり、何歳だと聞くと人の噂では60歳くらいだという。
だが職業柄もあるのだろうが何かにつけ、じつにスマートで年齢を微塵も感じさせないという。妻は50歳くらいかと思ったそうだ。
なかなかの紳士で浮いた噂もないそうだが、妻が60歳の男に抱かれたのかと思うと私は情けなくなった。

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