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日記番号:892

愛する妻を堕した男

志保の夫(首都圏)


  感想集

32.後朝(Kinuginu)

その夜はさすがに寝付けなかった。
完全挿入は出来なかったけど、少なくとも志保の体に印を付けたことは確かだし、あれで全てが終わった訳でもない。これからは二人で会う機会が多くなるだろうし、精神的に高い垣根を越えたことは確かだ。少なくとも元彼女の失敗は繰り返さないつもりだ。ただ交際が順調に行っても実際に結婚までは最短でも4、5年がかかる。当然、遠距離恋愛も想定しなければならない。その間、志保との関係が高い密度で維持されるどうか不安でもある。
これまでも先輩OBを見ていて学生時代の恋人同士が結婚に至る確率は20%程度と低い。別れの原因はそれぞれ違うようだが、学生と社会人では価値観が異なること、それに社会に出て男女それぞれ新たな出会いを持つ。遠距離になった男女の意思疎通等々、別れの理由はいくらでもある。
私たちについて言えば、私は来年卒業して社会人になるが、志保はあと3年間は学生のままなのだ。
そして、かなりの確率で私の勤務先は東京以外となる。数年後に運よく東京に戻って来られる確率は20~30%程度。結婚まで遠距離恋愛は長く続く。志保はそれに耐えられるか・・・。

翌朝、志保を迎えに行ったのは9時過ぎだった。
母が入院しているので、食事の支度は私の仕事。それが親孝行だと思っているので然程苦にはならない。
朝食はご飯、みそ汁、納豆、漬物と決まっている。しかし面倒なのは弁当造りだ。父は食事に文句は言わないが弁当は他人が見るので適当には出来ない。卵焼き、野菜炒め、焼売3個、ご飯に海苔か梅干しで決まり。これで約30分。父は毎朝8時に家を出る。その後洗濯機に洗い物を放り込めば後は干すだけ。夜は昨夜のカレーにトンカツをのせてOK。

事情を知らない志保はそれでも来るのが遅いと機嫌が悪い。
「昨夜は女の子の私にとっては最大の出来事だったのに、終わったらもう興味が無くなったの?省吾さんってそんなに薄情な人だったのね?私がどんな気持ちで朝までいたか・・・」と、言いながら私の胸に顔を寄せる。
志保は既に着替えていつでも出発できる準備をして私を待っていたようだ。
病院の入院患者の面会時間は10時から18時までと決まっている。しかし、朝は回診等や検査があるので患者に落ち着いて面会できるのは11時から昼食の間と昼食から夕方までだ。
志保は今日夕方の飛行機で千歳を出発するので午前の11過ぎに病院に行くことにした。このホテルから病院までは15分もあれば十分なので、もう少し部屋でゆっくりできる。
「まだ、痛い?」
「ううん、もう大丈夫よ。でも、あの時はスッゴク痛かった。気が遠くなりそうなくらいよ」
「そんなに・・・?」
「そうよ・・・、陽子からは、『痛いけどたいしたことは無いよ』と聞いていたけど、本当にびっくりよ」
「個人差があるのかなぁ、それとも僕が下手だったからかな?」
少し自虐も込めて言ったが、志保はそれを無視するように言う。
「わかんない・・・、でも、また痛かったら嫌だわ。陽子は最初だけと言っていたけど・・・」
「その陽子先生には報告したのかい?」
「うん、今朝、起きてすぐに・・・」
「女同士って何でも話すんだね?」
男同士では童貞喪失を自慢して話す事はあるが、それは恋人以外との体験談で、普通は恋人との事は言わないものだ。だから、志保が友人の陽子に早速報告したことは驚きだった。少なくとも、私と志保が結ばれた事実を陽子と云う第三者が知っている。第三者が知ったら、それは周りの友人にも伝わるだろう。志保の友人の間では、志保の恋人として私が認知されたことになる。悪い気はしなかった。
「それで、陽子先生は何か言っていた?」
「陽子は・・・、陽子は『きっと浅井さんのオチンチン普通よりサイズが大きいんじゃない?』と言っていたわ。省吾さんの大きいって聞いていたから・・・やっぱり・・・」
「そう言われても、小さくできないからねぇ。今度は優しくするから・・・」
「うん・・・、あら嫌だぁわ、もう私ったら・・・恥ずかしい」と、言いながら唇を求めてくる。

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