メニュー ログイン

日記番号:844

DELETE

幸治(都内)


  感想集

8章-2

『一人になると心の隙間を感じる』
離婚して帰る場所を失った男の気持ちが何となく分かるような気がした。それに、離婚した男達は皆同じセリフを言う。多くの男達はその寂しさに耐えきれず再婚をするが、小野氏はまったく別の道を歩んだようだ。
「法律事務所の所長さんから?法律のプロから奇妙な相談ですか?」
「そうなんです。その話を聞いて驚きましたよ。その相談の内容が所長さんの奥さんの相手をしてほしいとのことですから」
「えっ?ちょっと待ってください!自分の奥さんの相手をしてくれと言うことは、簡単に言うと抱いてほしいと言う意味ですか?」
妻を他の男に提供する?私の常識には有り得ない話でにわかには信じられなかった。
「そんな・・・、ちょっと私には信じられませんねぇ」
「普通の人はそう思うでしょう。要するに、その弁護士の先生は『糖尿やストレスでED状態なので、小野さんに夫の代役をお願いしたい』と言うんです。しかもその奥さんも『小野さんだったら抱かれてもいい』と、言っているらしいんです」
「その奥さんは幾つくらいですか?」
「当時は30代前半だったと思います。先生は40代半ばだったと思います。お子さんも2人いました」
「それで、小野さんはOKしたんですか?」
「まぁ、バブルの頃はかなり派手な遊びもしていましたから、まったく知らない世界でもありませんでした。その奥さんも弁護士さんで先生の事務所で働いていたんです。ですから、以前から顔見知りでしたし、何となく私に好意を持っているとは感じていたんです。しかし、旦那さんの先生から『セックスも含めた付合いをして欲しい』と言われると、どうしてもその事が強く意識となって落ち着かないんですよ。私とは逆に奥さんの方が落ち着いていまして、いざとなると女性の方が度胸があると感心しました」
「夫公認の不倫ですか・・・。こう云う場合も不倫と言うんでしょうかねぇ」
「そうですねぇ、正確には不倫では無いでしょう。性風俗用語では(妻の貸し出し)と呼ぶそうです」
「妻の貸し出しですか?」
「それが、今の時代はあまり珍しくはないようですよ。不況下で亭主は仕事のストレスで奥さんにかまう余裕が無いし、奥さんも子育てを任されてストレスが溜まってイライラしても旦那はまったく無関心ですから、バブル世代の奥さんにはかなり地獄に近い世の中なんです。だから、旦那が(好きに遊んでいいよ)と、言われると嬉しいようなんです。それに最近では旦那が奥さんの浮気に気付いても見て見ぬふりの無関心派がほとんどだそうです。むしろ旦那が気が付いて奥さんを問い詰める場合の方が奥さんには旦那が自分に関心を持っていると感じて喜ぶそうです」
小野氏の話を聞いて不倫を楽しむ妻族にはあまり関心を持てなかったが、夫公認下での妻の男性交遊には強い興味を持った。

前頁 目次 次頁