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日記番号:747

夢は妻とともに…

傍観者(関東)


  感想集

テラス

歳は5歳ほど離れているとはいえ、お互いに子供がいるもの同士…
突然具合が悪くなって会社を休んだ私と、その報告電話を上司へ掛けさせられ少々呆れ顔の妻は、澄み渡る秋空の元、平日の空いた高速道路を1時間ほど走り、待ち合わせ場所であるイタリアンレストランに車を止めると、吉沢さんが窓を叩きました。

〔こんにちは、遠くまでようこそ。〕
「こんにちは。先日はありがとうございました。」
『こんにちは……』
紳士な吉沢さんに、わざとらしい私と恥ずかしそうな妻。
三者三様に心中を察したのか、笑顔の挨拶を交わし、吉沢さんの奥さんが待つ店内へと入りました。

〔妻の美佐です。〕
〈はじめまして。遠くまでようこそ!お会いしたかった~ありがとう!!〉
「はじめまして。優一です。吉沢さんにはお世話になっています。」
『はじめまして。妻の美枝子です……え~……』
〈ふふふっっ。主人がお世話になりました。(笑) あなたが言ってたとおり素敵なご夫婦ね!さっお座り下さい。〉

イタリアン好きの吉沢さん夫妻が、足繁く通うと言っていた店の料理の味と、美佐さんの豊富な話題、そして吉沢さんの適度な相槌や問い掛けにのり、1時間ほどの楽しい時間が瞬く間に過ぎました。

〔マスター…テラスいいかな?〕

きっと、示し合わせていたのでしょう。
ワイングラスを3つ手にしたマスターに誘われ、私たちは眩しい程に葉を黄金色に染め上げた銀杏が立つテラスに席を移し、白ワインと、グレープフルーツジュースで乾杯したのです。

〈優一さんは飲めなくて残念ね~すごく美味しいワインなのよ、これ!〉
「いえいえ…私お酒はまったく飲めないんですよ。」
〈あら!ますます残念!美枝子さんは?お好きなの?〉
『普段は飲みませんけど、好きです。』
〈良かった~少し驚くかもしれないけど、飲みながら聴いてね…私、まわりくどいの好きじゃないから……単刀直入に言うわね…私は、主人とのSEXも好きなんだけど、他の人も交えたSEXのほうがもっと好きなの…たとえばね、主人以外に2人来てもらって3人に抱いてもらったりするの。〉
『………』
〔おいおい…単刀直入すぎじゃあないか?奥さんのことも考えながら話しなさい。〕
〈ん~そうかな…そうだねっ大丈夫?…でも、こう…上手く言えないわ!だって私だって恥ずかしいんだよ…カミングアウトみたいなものだもん。…ね~〉
『ふふふっ……大丈夫です。ある程度は覚悟して来ましたし!』
〈良かった~美枝子さんありがと!ほら~!男性陣はあっち行っててくれる??〉
「………」
〔………〕
『大丈夫です。主人にはいて欲しいんです…あっ吉沢さんにも……』

昼間から…いや、夜中でも無いような話しなのに、妙な妻の気遣いにテーブルは和み、美佐さんは、青く澄み渡る空と大自然の元「輪姦」「乱交」の良さを笑顔で話し続けました。

〈でね、今度都内のホテルでそういうパーティーをするんだけど、優一さんと2人で見に来ない?〉
『………』

妻はワイングラスに口をつけたまま俯いてしまいました。
その姿は、突然の誘いに驚き言葉を発せないというわけではなく、予期していた言葉を目の当たりにし、断れる状況に無い自分を受け入れる為の時間をつくっているかのようでした。

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