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日記番号:582

私たちの消せない記憶

うげんこう(東京都西部)


  感想集

23 ピンクの下着

私は妻とこんなセクシーな下着を付けて、夜を共にしたことは一度もなかった。
あるということくらいは、ネットで見て知っていたが現物ははじめてである。
と、、無力感に襲われ、あの男に打ちのめされたような気分になり、椅子に座り込んだ。
顔を上げることも出来ない、敗者そのものの情けない姿であり、くたびれきった精神状態だ。
その時、風呂で着替えた下着が又気になった。
この部屋に持ってきたはずだと思い、さがすとカーテンの下に転がっている。
ピンクの上品な刺繍とレースが入ったものでブラジャーとセットになっていた。
そうだ、これがいつもの妻のものだ、この上品さが妻の大事なものを、包んでいるんだ。
そう納得しそれをテーブルに置き、汚らしい黒の下着は紙に丸めて又突っ込んだ。
だが、亡者のようにあの男がでてきては、奥さんを戴きましたと言って丁寧に会釈をして消えていく
いつの間にか、めったに飲まないウイスキーの口が開いており、がぶ飲み始めたらしい。

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