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日記番号:582

私たちの消せない記憶

うげんこう(東京都西部)


  感想集

19 バックの中身

じゃあそれからどうしたのかと聞いたら、
喫茶店に行って練習のことや発表会の、、と言いだしたから「むらっ」とした、納得できるものではない
妻もきずいたのかカラオケに行って、、とか言い出したから「尾辻の電話番号は」と聞いた。
妻はキッとして知らないと言ったから、そうかと言ったんだけど、僕も疑念のひとつははっきり言っておこうと思ったから、「不貞はしていないよね」と聞いた。
肯定も否定もしなかったが、私の目的がはっきりしたわけで、しばらく静寂が流れた。
「疑いたくないから本当の事を聞いてるんだけど」と言うと、それっきり黙ってしまった。
「バックの中身を確認する」と言うと、ヤメテーと言ってひったくった。
口が開いて、中のものがバラバラと床に散らばり、泣きながら拾いあつめてパジャマのポケットに入れている。
かわいそうに思ったが今更止めるわけにはいかなかった。

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