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日記番号:844

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幸治(都内)


  感想集

5章【混浴露天】-1

さすがに深夜2時を過ぎると風呂に行く客はいない。
私たちは入口で誰も客がいない事を確かめてから、後から露天風呂で落ち合う約束をして男女別の入口で別れた。
内風呂で体を洗い終えて、「これから露天風呂に行くよ」と、隣の女風呂の方に声をかけると「わかりました」と、返事が返ってきた。
露天風呂は屋内の湯屋より少し斜面を下った渓流沿いにあり、横に長い瓢箪型の岩風呂の造りになっている。男女どちらの内風呂から出入りできるようになっている。しかも竹の垣根で仕切られて、外側からは風呂の中が見えないようになっている。
入口に洗い場がありそこだけ照明があり、後は瓢箪形の中央部分の狭くなっている部分に灯篭型の灯りがあるだけだ。温泉水の出口は奥の方にあり、そちらの風呂の方が熱い。
入口側で待っていると、ほどなく陽子が旅館の薄い手拭1枚だけで下腹部を隠して入ってきた。テレビではタオルで隠しているが、それはテロップで示すようにあくまで例外である。普通、内風呂から露天風呂に来るのにわざわざタオルを持って来る人はいないだろう。10時過ぎのまだ早い時間帯なら混浴の可能性もあるので少し大きめの手拭タオルを持参する女性がいるかもしれないが、深夜の2時でしかも私たち以外に入浴客は誰もいない事を確認している。
「おまたせ、2人で露天風呂に入るなんて初めてよね?」
「そうだね。貸切の露天風呂に入ったことはあるけど、普通の露天風呂に入るのは初めてだね。寒くないかい?」
「ちょっとぬるい感じがするわ」
「奥の方が熱いみたいだよ」
私たちは瓢箪形の露天風呂の奥の方に移動した。
私たちはお互いにお湯を肩にかけあったり、熱くなった体を冷ますために並んで岩の上に腰を掛けて抱き合いキスをしたりしていた。
その日、私たちは普段とは違う非日常的な心理状態にあった。部屋での性的興奮状態が続いていた。私たちは自然にお互いの下腹部に手を伸ばし、普段とは異なる環境の中でわずかなスリリングな刺激を求めて弄り合っていた。それが次第にエスカレートして、陽子は両手を岩について、尻を突き出しバックから挿入した。星空の下でのセックスはもちろん初めてだった。
「あ、あぁぁぁ、はぁぁぁ、はぁぁぁ、すごいぃぃぃ、はぁぁぁ・・・」
陽子は控えめだが、声のトーンを落として喘ぐ。
(誰もいないし、誰も来ない)と言う思い込みが私たちを大胆にしたのだろう。しかし、セックスで夢中になり始めた時、突然の露天風呂の木戸が開閉する音が聞こえた。そして、そこが私たちだけのプライベート空間では無いことに気付かされた。
私たちは驚いて離れ、慌てて湯の中に体を沈める。

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