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日記番号:892

愛する妻を堕した男

志保の夫(首都圏)


  感想集

16.口移し

志保が目を覚ましたのは1時頃だった。
あの後、志保は私の腕の中で眠ってしまったのだ。11時前に「チェックアウトの時間だよ!」と、起こしたら、「うぅ~ん、大丈夫よ・・・言ったから・・・」と言うのでそのままにした。『言ったから』何を言ったのか、寝ぼけているのか、判らないがフロントから連絡が来たらその時に対処しよう。
彼女は、昨日は色々な体験をして精神的に疲れていたし、また興奮して眠れなかったのだろう。私の腕に抱かれてやっと気持ちが落ち着いたのだろう。私の胸に顔を埋めて眠る志保を見ていると本当に可愛いと思った。スヤスヤ寝息を立てて眠る顔を見ていると、改めてこの子が自分と同じ人生を歩むことになるのだろうと、感じた。
口の端から出た涎を拭いてあげようとテッシュに手を伸ばした時、目を覚ました。
「あっ、いけない!ごめんなさい!」
テッシュで口と顎を拭くと、涎で汚れた私の胸をパジャマの端で拭く。
「今、何時かしら?」
「1時少し前だよ。フロントから何も言ってこないけど・・・」
「大丈夫、このお部屋は2時まで使えるから・・・」
言っている意味がよく分らないが、そんなサービスがあるのだろう。
「お腹は空いていない?」
「ううん、でも、喉が乾いた・・・」
デスクの上に飲み残しのペットボトルのウーロン茶があったので取りに行く。
男は愛おしいと思う女にしか出来ない儀式がある。それは口に含み、抱き起こして口移しで彼女に注ぎ込むことだ。ある意味、究極的には精液を飲ませる行為に通じるところがある。
志保はそれを自然に受け入れ、美味しそうにゴクンゴクンと音を立てて飲み干した。
「お代わりは?」
「うん、もっと・・・」と、嬉しそうに答える。
さらに側に寄って抱いて口移しをしたが、最初の口移しが刺激となって陰茎が勢いを取り戻し、彼女の脇腹辺りに触れる。口に含んだウーロン茶の量が多いので直ぐに終わらないし、志保も私を引き寄せようとする。志保が身体を動かすとそれが陰茎を更に刺激する。
やっと飲み終えて身体を離すと、志保もその存在に気が付いたのか、ハッとした顔で見ていた。そして気が付くと恥ずかしそうに目を背けた。
「志保ちゃんの側にいると元気になっちゃうんだ」
つまらない照れ隠しを言いながら、慌てて両手で隠しながらベッドを下りてジーンズとシャッツを手に取る。
「そろそろ支度しようか?」
「はい・・・、あっ、どうしよう・・・」
「えっ、どうかしたの?」
私が振り向くと、「いいえ、何でもないわ・・・見ないで!」とオロオロしている。
志保もベッドから下りると、シーツを剥がして、体に巻いてクロゼットに向かった。そして衣類を手にバスルームに入った。
しばらくして志保はデニムのショートパンツと青いTシャッツに着替えると出てきた。シーツはそのままバスルームに置いてきたようだ。
私たちはそれからホテルを出た。
「あら?車は?」
「今日はオヤジが病院に行くと言っていたから電車で来たんだ」
「病院?お父様どこか悪いの?」
「いや、オヤジじゃなくてオフクロが入院しているんだ。今日は日曜でオヤジも休みだから・・・」
「お母様が入院なさっているの?ごめんなさい、わたし、何も知らなくて・・・、我儘ばっかり言って」
「肺がんで手術したんだけど、その後の経過があまりよくなくて、入退院を繰り返しているんだ。でも、今回はもう少しでお盆になるからその間は自宅で過ごすことになっているんだ」
「私、お見舞いに行かなくちゃ」
「そんなに気を遣わなくてもいいよ」
「いつまで入院しているんですか?」
「8月の11日に仮退院すると言っていたよ」
「そう・・・、病院は小樽市内なの?」
「ああ、そうだよ。家から車で15分くらいのところ」
志保はじーっと何か考えているようだった。
それから、志保は一緒に駅の地下の食堂街で遅い昼食をとり、電車に乗って富良野に向かった。
食事をしている時もそれから構内で電車を待っている時も志保は何かを考えているようだった。

《志保の告白》
貴男からお母さまのご病気のお話しを聞いたことが、私の一生を決めることになったの。本当に運命って不思議ね?
もし、その事を知らなかったら、私はそのまま東京に戻り、貴男と交際を続けていたかどうか、自信がないわ。陽子からも色々な事を言われたし、それに・・・、誘惑も・・・。
だって、私たち、お互いの愛情は確認したけど、私はバージンのままだから・・・。

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