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日記番号:1074

単身赴任と夫婦交際!そして今日

潮風 (四国)


  感想集

盗聴のお返し(1)

 夏の暑い盛りを過ぎて、風が初秋を思わせるようになった。現場も順調に進んで工程どうりの進捗を見せている。
この分だと年末までに外郭が整い年を明けると機器の調整や雑工事等で先行きが見えてきた。そんなある土曜日の朝、出勤の仕度をしていると電話が鳴った。 
 朝早く誰だろう?と思いながら電話を取ると、   「おはよう!おきてた?」 量子(妻)の声だった。「どうした朝早く、何か有ったか?」
「ううん! 月曜日祭日でしょ。三連休になるから今日そちらに行わ!」  「えっ!また急にどうした?」  
「あら!急に行くと困る事でもあるの?」 「そりゃあ嬉しいけど、今まで赴任先に来た事ないから・・・」
「そうね、実は先日母にお説教されたのよ。」  「御母さんに?また何て?」
「貴女は裕好さん(私)を放って置きすぎ、帰って来れないなら貴女が会いに行きなさい。男は二ヶ月も三ヶ月も女無しでは生きられないんだから」
「裕好さんがいくら堅物だからと言っても、そんなに放っておいて、浮気されたからって後で泣き付いてきても知らないからね。」   だって!!
 そう言えば義父は52歳の時心臓病で急逝したが とってもダンディな人だった、それだけに女の噂も多かった。事実、私も、当時義父が噂のあった浮気相手と一緒のところに偶然出会った事がある。 義父は何食わぬ顔で、「娘婿です」と 紹介してくれ此方が戸惑った想い出が・・・・・。 そんな訳で義母も娘にそんな思いをさせたくないのだろう。
「ねえ聞いて、母のお説教の最後がね。」 「 妻は昼間は淑女で居なさい 夜は娼婦の様に振るまいなさい・・・だって!!
「そんな訳だから今日行わ!」  「わかった、 で、子供たちは?」 「今夜から実家に行く様にしてる。大好きなお婆ちゃんちに行くから朝からルンルンよ」
「合鍵送っていたよな?」 「ええ!昼過ぎには着くと思うから部屋の掃除も洗濯もしておくわ。 今まで何時も合鍵貰っていたけど使うの初めてね。」
「ハイハイ!どれだけ冷たい奥様でしょうか。」 「母に言われて気が付いたの、なんと言われても弁解できないわ。」
「まあ今日は楽しみに早く帰ってくる。 道中長いから気をつけて来るんだよ!」 そう言って電話を切った。 顔を洗いに行った洗面所の鏡にチョッとニヤついた自分の顔があった。

 

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