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日記番号:892

愛する妻を堕した男

志保の夫(首都圏)


  感想集

12.あの夜の事

《志保の告白》
あの日は色々な意味でショックだったわ。
野島さんの事は先輩女子からもある程度は聞いていたけど、そこまでのプレーボーイとは思っていませんでした。それに貴男に処女性を疑われたと思ったら、悲しくて、悔しくて、本当に泣いたのよ。
あの時、野島さんとのことを貴男に話した事を悔やんだけど、後で考える、やっぱり話して良かったと思う。だって、もしも貴男が他の人から私の噂を聞いたら、きっと貴男はもっと疑ったと思う。だから私から話して貴男に信じてもらいたかったのよ。
「あの日、志保は会った時から様子がおかしかったよね?何だかとにかく積極的で僕もどうしていいかオロオロしっぱなしだったよ。だって、それまでプライベートな話もしたことがないから・・・」
そうよね、今なら分かるわ・・・。私、あの時はかなり焦っていたの。急に北海道旅行を決めたのもそのせいなの。
あの北海道旅行も野島さんとの事が大きく係わっていたの。
実はね、私、野島さんから猛烈にアタックされている事を一緒に旅行していた親友の陽子に相談していたの。
彼女は男女交際にかけてはとてもオープンと言うか積極的で、彼女は中学三年生の時に家庭教師の大学生と初体験を済ませていたし、私にも早く初体験を薦めていたの。だから、野島さんの事を相談したら、「一度会って、志保の初体験の相手として相応しいかどうか見てあげる」と言ってたから、コンサート会場に入る前に軽食を兼ねてカフェで会って彼を紹介したの。
陽子はすっかり彼に魅了されて、「貴女の相手で無かったら私がお相手したいわ」と、まで言うの。別れ際に「今夜は勝負をかけるのよ!あの人なら絶対上手く行くから、初体験の相手としては最高の相手だわ」と言うのよね。
彼女の持論は『初体験は経験豊富で上手な男性を選ぶべき』といつも言っていたの。私も、そうかなぁ、なんて考えたりしていたし、そう考えると野島さんでもいいのかなぁ、と・・・。
でも、あの日、野島さんとホテルのバーを出て帰るのかなぁ、と思ったら、エレベータホールで昇りのボタンを押したの。「帰るんじゃないの?」と言ったら、「上の階の部屋から見る夜景が素晴らしいだよ。志保さんと一緒に見たいんだ」と、いつの間にキープしたのか分らないけどお部屋の鍵を見せたの。
それを見た時、とにかく驚いたわ。それまでのフワフワした気持ちが一瞬に醒めたの・・・。
ヤバイ!と思ってその場から逃げたの・・・、本当よ!
その事を話したら、陽子的には、野島さんは初体験の最高の演出をしたらしいの。「この不況の世の中でこんなチャンスなんてあまりないし、もったいない」と何度も言っていたわ。
でも、陽子が「そこまで行って、急に拒絶したのは志保の意識の中に男性恐怖体験とか、別の男性の存在があるんじゃないの?」とズバリと指摘されたの。
私が考えていると「志保には誰か好きな人がいるんじゃないの?」と聞くから、私、たぶん私の片思いと断って、貴男の事をお話したの。
陽子が私の話を聞いて、「なるほどね!それで分かったわ。浅井と言う先輩の存在が志保の意識の中にかなり深く入り込んでいるということでしょう?貴女その人が好きなのよ。だから、他の男性を受け入れなかったのね」陽子が心理学の教授みたいなことを言って、自分の言葉に納得したような様子で言ったの。
陽子に指摘されて、その時初めて貴男の存在の大きさに気が付いたの。それまで心の奥に潜んでいた物が急に膨らんだような感じ。
確かにお部屋の鍵を見せられた時、心の何処からか「違う!この人じゃない!」と、叫んだような気がしたわ。
その後に陽子から北海道旅行の話が出たの。
「よし!北海道に言って浅井先輩の気持ちを確認しようよ。もし、彼に志保への気持ちが無かったら、野島さんの誘いを受けたらいいのよ。これで志保の初体験の相手をきめるのよ。いつまでもバージンを守っても何もいい事なんかないわよ」と、けしかけてくるの。陽子に言わせるといつまでも処女を背負っていると女の魅力を磨けないし、段々重くなるし、男性に対して臆病になって婚期が遅くなると言うの。高校時代の同級生でバージンは私だけとも言われたわ。
それで北海道旅行に出かけることになったの。意外と簡単に決まったのは3月の高校卒業旅行をしなかったので両親もすぐに了解してくれたの。ただ、二人とも札幌までは行ったことがあるけど、その他には行ったことが無いから、ついでに観光も兼ねて1週間の予定で出発したのよ。
これで野島さんと北海道旅行が結びついたこと解ったでしょう?
その後、陽子から色々と男女交際のアドバイスを受けたわ。
陽子に言われたのは「ホテルに誘って二人きりになったら、男は必ず手を出して来るから黙って任せなさい。Hまで行かなくても最低キスだけはすること。真面目な男はそれだけでも十分責任を感じるから」
私がキスした後「良かった」と言ったのはそれが本当だったと思ったから。だって、貴男が恋人宣言してくれたでしょう?野島さんからの誘いも「彼がいるから」とはっきり断る理由ができんだもの。二つの意味で「良かった」のよ。貴男の彼女になれた事と、野島さんの誘惑から逃れることが出来た事。
貴男とこうしてお話しできるのも野島さんのお蔭かもよ・・・、うふふふ・・・。

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