静かなリビング・・・
しばらくすると、友人が起きだした。
そして、エアコンのリモコンをいじっている。
設定を強風に、ピ、ピ、ピピピと何回か押して温度をいっぱい下げているようだ。
素っ裸の友人がリビングから消えた。バスタオルを巻いてすぐに戻ってきたかと思うと、家内のヨコに寝そべり、
「○加さん・・・・・、起きよう・・・・
お風呂に行こう・・・・・」と、囁くような声で話し掛けてる。
「・・・うっ!ん!・・・・・」と、
目覚めた妻が、ボーーと視点が定まらぬ様子で友人を見詰めてる。
急に、恥ずかしそうに、顔を伏せながら、衣服を探してる。
「私、寝ちゃった・・・」といって、慌てて巻きスカートを引っ張り、身体を隠そうとしている。
「・・・ごめんなさい」
驚くような素早さで妻は、風呂場に向かい風呂場のドアを閉める音がした。
友人が後を追うように悠然とリビングを後にした。
風呂場のドアが開く音がして、シャワーの水が滴る音が聞こえる。またドアが閉まった。
床には、妻のタンクトップや、うす紫色の小さなパンティ、友人のパンツや衣服が散らばっている。
その光景は、もはや我が家のリビングは似つかわしくない光景として目の前に焼きついてる。
今の内に、一刻も早く家を出ないと・・・・・・・・
娘の部屋の窓を少し開けて、外気を取り入れる。
そして、ゆっくりリビングを通って、廊下伝いに風呂場に近づく。
風呂場の手前を通らないと、裏庭に出られない。
シャワーの水音がはねている。
風呂場に友人と妻・・・・・
息苦しい。ビクビクして萎縮する自分が情けない。
風呂場を過ぎて、ランドリーのよこでじっと耳を澄ます。
ビデオカメラの録画スイッチをONにして、音声を拾う。
自分を呪いたい気分を押し殺す。
自分でも不思議なくらい、嫌なことにすばやく反応してしまい、暗澹たる気持ちになっていく。
シャワーの水音と共に、家内のやさしそうな声が聞こえた。
「・・・・ごめんなさい・・・・
何も・・・?? ない・・・・で、・・・・」
いろんな音が壁越しに混じって聞き取りにくい。
「・・・・・・・・が、・・・・・いい・・・・・・」
友人が、ボソボソした声で何か言ってる。
「・・・・・・・・・きくよう・・・・・・あの・・・・」
何を話すのか、家内はなにか話してる。時間を気にしてるようだ。
「・・・・・そっと・・・・・るの?・・また・・・・」家内が何か、質問しているような話し声・・・・・
そして、「フフ、・・・・ダメ・・・・・る そう ・・・」と、ため息まじりの妻の声・・・・・
「・・・・・・・・・・・・をね、・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
慌てたくない私は、会話が気になるが洗面所を出て庭から鍵を閉めた。
後ろ髪を引かれる思いで、まるで逃げるように、
そして脚の震えが止まらないまま、駅の方へ早足に歩き出した。
実家に帰るしかない。早く風呂に入って着替えたい。
急ぎ足で、母のいる実家に向う。
気持ちは、もはやビデオ再生のことで頭がいっぱいになっている。














